心筋梗塞リスクは「せっかち」な男性の方が低い
2008年7月25日 20:00
 日本人男性は、「行動がせっかち、怒りっぽい、競争心の強い人」の方が、そうでない人より心筋梗塞などの発症の危険が低いことが、厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。欧米では「せっかちな行動の人の方が発症しやすい」という研究結果が報告されているが、逆の結果になった。
行動パターンによる発症の違いは男女で異なる
 調査は1990年と、93-94年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の8県の9保健所で、40歳から69歳の男女約8万6000人を対象に行った。

 自分の行動パターンについてアンケートを実施し、せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的という行動傾向のある人を「タイプA」群、Aの傾向をもたない人を「タイプB」群に分け、その程度によって全体を4グループに分けた。

 2003年まで追跡し、タイプA行動パターンと心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症との関連を調べた。03年までに、669人が心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症した。

 男性では、タイプBの傾向が強い人ほど虚血性心疾患の危険が上昇し、Bの傾向がもっとも強い群の発症の危険は、Aの傾向がもっとも強い群より32%高かった。また、BよりAの方が飲酒量や喫煙者が多かった。

 女性では、統計学的な有意差はみられなかったが、B群の発症の危険は、A群の0.8倍という傾向がみられた。

行動パターンについて行ったアンケート調査

(1) せっかちさ
(0:のんびり、1:ふつう、2:せっかち)
(2) 怒りっぽさ
(0:温和、1:ふつう、2:怒りっぽい)
(3) 積極性
(0:消極的、1:ふつう、2:積極的)
(4) 競争心の強さ
(0:負けても苦にならない、1:ふつう、2:競争心が強い)

タイプA行動パターンと虚血性疾患
タイプA行動パターンと虚血性疾患
不健康な生活習慣の傾向は仮説通りの結果に
 海外では、タイプAの行動パターンのある人は喫煙、多量飲酒などの不健康な行動や日常ストレスを受けやすい生活をする傾向にあり、虚血性心疾患などの疾病に影響するという研究報告がある。このメカニズムは「タイプA行動パターン仮説」として知られている。

 今回の調査で行動パターンと生活習慣との関係を調べたところ、A群の方がB群に比べ身体活動量が多かったが、男女ともに虚血性心疾患の危険因子である喫煙、多量飲酒、日常ストレスの割合は高く、仮説と同じ結果になった。

 日本人男性の虚血性心疾患の危険が欧米での研究と逆の結果になったことについて、研究者らは「強調性が強く求められる日本人社会には、せっかち、怒りっぽい、競争心、積極性、敵意性などの行動を表に見せることに否定的な風土がある」として、「タイプA行動パターンをもつ男性は会社の仲間などとお酒を飲みに行くことでそのようなストレスを発散している一方で、タイプB行動パターンをもつ男性はストレスを内にためこみ、発症リスクを上昇させているのではないか」と話している。

 研究結果は医学誌「International Journal of Epidemiology」のWEB版に発表された。

厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」

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