高血圧を指摘されても40歳以上の38%は未受診
2008年8月 7日 16:12
40歳以上の9割は高血圧が脳卒中の危険因子だと知っているが、健康診断などで高血圧を指摘されても4割近くは医療機関を受診していない――中高年の脳卒中への関心は高いが、予防に向けた取り組みは十分ではないことが、ファイザーが全国の40歳以上の男女4,700人を対象に今年4月にインターネットで実施した調査であきらかになった。
生活習慣の改善、できた人は半数
脳卒中は日本人の死亡原因の第3位を占め、厚生労働省の「平成17年患者調査」によると総患者数は約137万人に上る。脳卒中を発症すると、運動麻痺や失語症などの後遺症や、医療・介護などにかかる経済的な負担など、患者とその家族に与える影響は大きい。予防を心がけ健康的な生活習慣を続けることが重要とされている。
調査結果によると、脳卒中になりやすいと思われる病気について聞いたところ、「高血圧」と「高コレステロール血症」はそれぞれ94%と78%で認知度が高かったが、「糖尿病」(40%)、「一過性脳虚血発作」(32%)、「不整脈」(30%)、「心臓病」(24%)については理解の不足がうかがえる結果になった。
また、38%は自分が高血圧だという診断結果をうけても医療機関を受診しておらず、脳卒中に対する予防意識は高くないことがあきらかになった。LDLコレステロールについても、検査値が正常範囲より高く脳卒中の危険因子となる高コレステロール血症のおそれがある人は13%で、うち58%はやはり医療機関を受診していないという結果になった。
医療機関を受診しない理由は「生活習慣を変えることによって改善しようと思ったから」が4割強で多かったが、実際に食事、運動、喫煙などの生活習慣を改善できたという人は半数にとどまった。
健診で異常値が出たら、まずは受診を
脳卒中への関心そのものは高く、「だいたいどのような病気か知っている」という人が72%。家族・友人など「身近で脳卒中になった人がいる」という人も47%に上った。一方で、発症の予防に向けた意識は比較的低く、日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」の診断基準値(収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上)を正確に知っている人は4割に満たなかった。
よく知られている症状としては「突然、ろれつが回らなくなったり、言葉が出なくなったり、人の言うことが理解できなくなる」などが挙がった。病後の生活で心配なことは「後遺症」が50%、「介護する家族への負担」が26%だった。
また、脳梗塞に対する治療法である「経静脈的血栓溶解療法(t-PA)」の認知度は19%だった。t-PAを知っている人でも、発症後3時間以内の治療が必要なことを知っている割合は半数にとどまった。
今回の調査は、日本脳卒中協会と宮松直美・滋賀医科大学臨床看護学講座教授の監修より行われた。宮松教授は「食生活や運動などの生活習慣の改善は日頃より留意するべき重要なポイントです。しかし、高血圧、高LDLコレステロール、高血糖などの危険因子の改善が自分一人では困難な場合には、医師や保健師など専門家のサポートを受け、それらを放置しないことが大切」と話している。
「危険因子の多くは自覚症状がなくひそかに進行していくため、つい見逃してしまいがちです。まず健康診断などの機会にご自分の検査値を確認し、異常値であれば医師の診察を受け、数値を正常範囲内に維持するように努めましょう」。
ファイザー(株)