岐阜特産の渋柿にメタボ改善効果
2008年10月 9日 18:53
岐阜県は、県特産の渋柿の果皮に、「アディポネクチン」を増やす作用があることを発見したと発表した。

岐阜県特産の堂上蜂屋柿
この研究は、岐阜県国際バイオ研究所らのグループによるもので、美濃加茂市特産の「堂上蜂屋柿(
どうじょうはちやがき)」の果皮に、動脈硬化などを抑制する物質「アディポネクチン」を増やす作用があることを確かめたという。
アディポネクチンは内臓脂肪細胞などから分泌される物質で、脂肪細胞から分泌される「アディポサイトカイン」と総称される蛋白質の一種。インスリンの働きを良くする作用があることや、低下すると動脈硬化が進みやすくなることが知られている。内臓脂肪が蓄積すると分泌が低下し、減らすと上昇する。アディポネクチンは動脈硬化の進展や、メタボリックシンドローム、糖尿病の改善などにかかわりが深いと考えられている。
研究グループは同研究所のほか、岐阜薬科大学、県生物工学研究所、一丸ファルコス。堂上蜂屋柿は、岐阜県特産品として美濃加茂市蜂屋付近で栽培されている渋柿で、2007年にスローフード協会(本部イタリア)により「食の世界遺産」に認定された。研究に使われた果皮は干し柿や柿ようかんなどの加工食品の製造過程で大量に廃棄されている。
同グループは、県産品を応用し付加価値を探る研究を2006年に始め、マウスによる動物実験で、果皮から抽出したエキスがアディポネクチンを増やすことを突きとめた。現在はマウスの細胞実験により食品作用のメカニズムを調べている。同研究所の大口健司・主任研究員は、今後はヒトへの効果を検証し、「未利用資源の有効な活用や、新しい機能性食品素材としての応用につなげたい」と話している。
岐阜県特産『堂上蜂屋柿』の皮に新機能 地域連携型技術開発プロジェクト研究成果(岐阜県)