若年層に広がる医療への不安(日本医療政策機構 調査)
2009年2月24日 18:32
特定非営利活動法人の日本医療政策機構(代表理事:黒川清)は、「日本の医療に関する2009年世論調査」の結果を発表した。最近の厳しい雇用・経済情勢からか、20代、30代の若年層を中心に医療費の支払いに対する不安のある人が86%に上るなど、不安感が高まっていることがわかった。
この調査は、同機構が2006年から行っているもので、2009年は全国の20歳以上の男女1,650人を対象に実施した。今年は、政権選択選挙となる総選挙の年であることや、最近の雇用・経済情勢の急速な悪化を踏まえ、(1)国民が考える医療政策の緊急課題、(2)医療に対する満足度や不安、(3)医療費の財源や国民の価値感の現状、(4)これら全ての基盤となる信頼度−−などについて調べた。
若年層に不安広がる
医療制度に対する満足度は、「まあ満足」「大いに満足」とした人が55%と過半数を超えたが、「医療制度をつくる過程の透明さ」「制度への国民の声の反映度合い」では、いずれも8割以上が不満とした。
医療に対する不安は、「必要なときによい医療を受けられない」(80%)、「深刻な病気にかかったときに医療費を払えない」(86%)といずれの項目とも、2年前の調査結果を上回った。また、医療費に対する不安について「非常に不安」とした割合は、20代、30代の若年層ほど高い傾向にあり、職業別にみると「非正規雇用」で最も高かった。
後期高齢者医療制度、支持と見直しは半々
昨年4月の制度スタート直後から批判を浴びた後期高齢者医療制度については、「現行の制度のまま維持」(9%)、「細かな点を修正し、現行の制度の骨格を維持」(41%)と、あわせて約半数の人が、現行制度または制度の微修正を打ち出す政府・与党方針を支持していることがわかった。年代別にみると、70代以上で56%と過半数が支持し、他の年代に比べ最も多かった。
一方、「廃止してもとの医療制度に戻す」(29%)、「もとの医療制度でも現行の制度でもない全く新しい制度をつくる」(14%)と、後期高齢者医療制度の見直しを求める声をあわせて42%にのぼった。
特定非営利活動法人 日本医療政策機構
日本の医療に関する2009 年世論調査(概要)