野菜を多く食べる人は肝がんのリスクが4割低下 厚労省研究班
2009年3月11日 18:43
 野菜を多く食べる人は、少ない人に比べ、肝がんを発症するリスクが4割低いことが厚生労働省研究班の調査で分かった。

 この研究は、厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)によるもの。調査班は、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄、大阪の6保健所管内に在住している40歳から69歳の男女約2万人を対象に、1993年から2005年まで調査した。
野菜・果物の摂取量によって異なる結果
厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」
 研究班は、アンケートから野菜・果物および抗酸化物質(レチノール・α-カロテン・β-カロテン・ビタミンC)摂取量を推計し、3つのグループに分け、もっとも少ないグループと他のグループとで、肝がん発症との関連を比較した。

 12年間の追跡期間中に101人が肝がんと診断され、うち8割はB型かC型の肝炎ウイルスに感染していた。野菜と果物の摂取について調べたところ、合計摂取量と肝がんの発生リスクに関連はみられなかったが、種類別にみると野菜、緑黄色野菜、緑葉野菜では、摂取量がもっとも多いグループの肝がんリスクは、もっとも少ないグループに比べ約40%減少した。一方、果物摂取量がもっとも多いグループでは、もっとも少ないグループに比べ、発症率が45%高まっていた。

 抗酸化物質の摂取量を種類別に推計し、グループごとに比べたところ、レチノール(ビタミンA)の摂取量と肝がんの発生リスクには関連はみられなかったが、α-カロテンとβ-カロテンでは摂取量のもっとも多いグループの肝がんリスクが減少する傾向がみられた。ビタミンCでは、高摂取グループで肝がんリスクが高い傾向となった。

野菜のカロテンに活性酸素を除去する作用
 野菜や果物に含まれる抗酸化物質は、いろいろな部位のがんに予防的にはたらく作用があることが報告されている。なかでもα-カロテンやβ-カロテンなどのカロテノイド(野菜や果物の色素)には、動物実験により肝がんの発症抑制が示されており、肝炎ウイルス陽性の肝硬変患者にカロテノイドを投与した介入研究では、投与グループで肝がんの発生が50%減少したと報告されている。

 今回の研究では、α-カロテン、β-カロテンを多く含む野菜の高摂取グループで肝がんのリスクが低下することが示さた。肝炎ウイルス陽性者に限ってみても、これらの予防効果は強かった。研究班は「肝炎ウイルス陽性者では、炎症により発がんに関わる活性酸素(フリーラジカル)が産生されるので、そのフリーラジカルを抗酸化物質が除去するというメカニズムが考えらる」と述べている。

 一方で、同じく抗酸化物質であるビタミンCについては、たくさん摂取するとリスクが上昇する傾向がみられた。ビタミンCには肝炎の原因となる鉄分の吸収を高める作用があることが知られている。

 研究班は「肝炎ウイルスに感染している人は、α-カロテンやβ-カロテンを含む野菜を多くとり、ビタミンCの摂取は控えた方がよい」と示唆している。

 今回の研究結果は、海外の医学誌「British Journal of Cancer」100巻1号に掲載された。

厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)
British Journal of Cancer, 100: 181-184; 2009(英文)

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