「メタボ」89%が認知 2009年版食育白書
2009年5月26日 15:02
政府は26日午前の閣議で「2009年版食育白書」を閣議決定した。メタボリックシンドロームや食育に対する認知が拡大した一方で、実際に取り組んでいる人は増えていない現状が示された。
メタボ認知は89%、予防・改善は29%
内閣府「食育に関する意識調査」(2009年3月調査)によると、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に関して「言葉も意味も知っていた」とする人は3月時点で89.3%で、政府が2010年度の目標値としていた「80%以上」を超えた。
一方で、メタボリックシンドロームの予防や改善のために適切な食事・運動を「半年以上継続的に実践している」という人の割合は29.4%にとどまり、「現在していない」は32.2%に上った。1年前の調査のそれぞれ30.3%と34.0%から改善しておらず、認知度の高まりに反して対策は不十分であることが浮き彫りとなった。
4分の3は「食育」を知っている
「食育」という言葉を知っていた人の割合は74.5%、「食事バランスガイド」などを参考にしている人の割合は57.7%だった。白書では、日本の気候風土に適した米を中心に水産物、畜産物、野菜など副食から構成される「日本型食生活」を栄養バランスに優れた食事として強調している。
健康的な食生活実践の目安としている「朝食抜き」の割合は、30歳代男性(30.2%)や20歳代男性(28.6%)で高く、2010年度の目標である「15%以下」から大きく隔たっている。女性も20歳代(24.9%)、30歳代(16.3%)で朝食欠食率が高かった。肥満や低体重(やせ)の割合、脂肪エネルギー比率、野菜摂取量などの栄養状態や食習慣についても、2003年から2007年までの5年間で大きな改善はみられなかった。
今後の食生活で特に力を入れたいことは、「栄養バランスのとれた食事の実践」(61.1%)、「食品の安全性へ理解」(51.0%)、「食べ残しや食品の廃棄の削減」(45.5%)、「規則正しい食生活リズムの実践」(42.1%)の順に多かった。
その他、厚生労働省補助事業「メタボリックシンドローム予防戦略事業」での自治体による地域の取り組みを評価。保健所が核となり地域の食品関連事業者、保育・教育関係者やボランティア団体が連携し、スーパーマーケットなどで啓発ポスター掲示やリーフレットの配布といった食育推進の取組をした茨城県の事業などを紹介している。
厚生労働省では現在、「日本人の食事摂取基準」2010年版の策定に向け検討会を設置しており、2009年度はその普及啓発を行うための研修会などを予定している。
食育推進担当ホームページ(内閣府)
平成21年版食育白書(本編)