脳卒中、適切・迅速な治療を求め法整備案 脳卒中協会
2009年6月30日 12:16
 日本脳卒中協会は6月、国の脳卒中対策の基本的な方針を示す「脳卒中対策基本法要綱案」を発表した。
法整備で脳卒中の適切治療を促す
 要綱案は日本脳卒中協会が中心となり専門家からの意見をふまえて作成したもので、法制化により脳卒中の症状や発症時の対応に関する市民の知識普及や、脳梗塞の効果的な治療薬である血栓溶解薬(t-PA)の普及促進などを目指す。近日中に各国会議員に送付し、協力を訴える。

 同協会の要綱案の基本理念として、以下のことなどを示している――

  • 予防と発症後の適切な対応について、国民への啓発・教育を行う。
  • 全国どこでも脳卒中患者に速やかに専門的治療が行われ、救急・急性期から維持期まで切れ目なく継続される。
  • 脳卒中後遺症患者と介護を行う家族の生活の質を維持し向上させ、社会参加を促す。後遺症患者が医療、リハビリなどを受けることができるようにする。
  • 脳卒中の克服を目指した、教育と研究を推進する。
 これらを実現するために、政府に対して「脳卒中対策推進基本計画」の策定を求めている。

 具体的な施策としては、国と地方公共団体、医療保険者は脳卒中予防に向けて、食生活、喫煙、飲酒、運動など生活習慣や、高血圧や脂質異常症、糖尿病など脳卒中の原因となる病気についての知識を国民に普及することとしている。

 さらに、発症後速やかに専門的治療が受けられるよう、救急搬送や救急医療、遠隔医療などの体制を整備し、専門的知識をもつ医療従事者や介護福祉サービス提供者を育成をはかる。急性期から維持期まで、継ぎ目なく専門的な医療や福祉を提供する医療施設を整備する施策を講じる。

 また、脳卒中の医療の質を向上させるため、脳卒中の発生や緊急搬送、治療の状況、転帰などの情報を国や地方公共団体が収集・提供する体制の整備も提唱。情報を分析して、保健対策や医療の質の向上のために施策に反映させなければならないとしている。

脳梗塞の新しい治療「t-PA」
 血栓溶解薬「t-PA」による治療は、脳梗塞の急性期治療に効果的として2005年10月に保険適用された。しかし、同協会によると、この治療法を受けているのは脳梗塞患者の約2%にとどまるという。

 t-PA治療は日本では以前から心筋梗塞に対してのみ許可されていたが、少量で効き比較的安全であるという海外の知見が増え、日本でも行えるようになった。脳梗塞や心筋梗塞は血管が詰まることで引き起こされる。血液の塊で栓をされて血液が流れなくなるのが「血栓症」で、t-PAにより血栓を溶かす治療が有効となる。

 しかし、血栓溶解薬の使用は出血という合併症を引き起こす可能性があり、また、「発症後3時間以内」という使用制限があるため、適切で迅速な治療が重要となる。同協会は、t-PA治療の実施が増えない原因として、「現在の救急搬送体制が脳梗塞治療に適した体制になっていない」、「国民に対する啓発活動が十分でない」などと分析し、2008年8月以降、関係学会なども含め法案の検討を進めている。

社団法人日本脳卒中協会
一般社団法人日本脳卒中学会

 脳卒中はがん、心臓病に次いで、国民の死因の第3位を占める。また、また後遺症が残りやすく寝たきりになる原因の第1位になっている。症状は短時間で意識がなくなる、ろれつが回らなくなる、顔半分や半身の麻痺、激しい頭痛など。脳卒中の原因として、脳内の血管が破れて出血する脳出血、動脈のこぶなどが破裂するくも膜下出血、血管が詰まって起こる脳梗塞と主に3つがあげられる。
 糖尿病の人は、血糖コントロールが良好でないと、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなる。糖尿病と脳梗塞の予防・対策について、下記ページで解説している。
糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞(糖尿病セミナー)
© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら