10分間の軽度の運動だけで認知機能は向上 筑波大など
2010年1月13日 15:41
 ウォーキングなど中強度の運動を10分間起こっただけでも、脳の認知機能を高める効果があることを、征矢英昭・筑波大学教授らの研究チームがあきらかにした。適度な運動をすると頭がスッキリして、仕事がはかどると実感する人は多い。研究では短時間の適度な運動が脳の認知機能を向上させる仕組みを脳科学的に解明した。

 今回の研究は、短時間の中強度運動が、運動直後に脳機能向上効果をもたらすことを、光トポグラフィ装置を活用し脳科学的に解明したもの。適度な短時間の運動が脳を活性化することが科学的に裏付けられたのは初めて。

 研究チームは、19歳から24歳の男女計20人を対象に、軽いジョギング程度の負荷の運動が脳におよぼす影響を調べた。50%の力で自転車をこぐ「中強度」の運動を10分間した後、運動前と運動後に色のついた文字を見せ、文字の意味に惑わされずに色を答えるテストで運動による認知機能の変化を調べた。さらに、近赤外光を使った「光トポグラフィ」という装置で、脳の活動を画像化し測定した。

運動により脳の「左前頭前野外側部」という部位で脳機能向上効果がみられる
 すると、運動をしないでテストを行った時に比べ、運動をした方がテストへの反応時間が短くなった。運動後のテストでは、注意集中したり、行動を意識的にコントロールする実行機能にかかわる左前頭前野の「外側部」と呼ばれる部位の血流が増加し、情報処理などの能力が向上したという。

 昼休みにウォーキングをするなど、日常生活の中に適度な運動を取り入れることは、メタボリック・シンドロームのリスク軽減にも有効だ。運動の効果は年齢や肥満度や、運動強度、時間などの条件によって異なってくる。運動をいつ・どのように行うと前頭前野に関連した認知機能を高めるのに効果的であるかが解明されると、より効果的な運動プログラムを開発できるようになる。

 同大の征矢英昭教授らは「今後は中強度運動がどのような生理的機構で前頭前野背外側部の活動を高めるかをあきらかにし、運動による短期的な脳機能向上が、長期的な脳機能向上につながるかを検証していく」とし、「研究成果をもとに、メタボリック・シンドロームの軽減に加え、脳機能を高める運動処方の開発を促進したい。食事や睡眠の影響も検討し、より統合的な観点から“脳フィットネス”をもたらすライフスタイルの提案を行っていく」と述べている。

 この研究は、筑波大学と農業・食品産業技術総合研究機構などの研究チームによるもので、文部科学省「21世紀COEプログラム健康・スポーツ科学研究の推進プログラム」の助成などを得て行われた。米科学誌「Neurolmage」オンライ版に12月16日付で掲載された。

筑波大学

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら