「インターバル速歩」が中高年の体力向上 メタボ改善効果も
2010年1月26日 18:25
 松本市の熟年体育大学リサーチセンター(理事長:能勢博・信州大学大学院教授)で開発された「インターバル速歩」が、中高年の体力向上に効果的であることがあきらかになった。
太ももの筋力を向上するウォーキングが運動効果を増す
 熟年体育大学リサーチセンター(JTRC)は、中高年から高齢者の健康づくりを学術面や人材育成などで支援する研究活動を行うNPO法人。信州大学や松本市、企業などが協力し、産官学民の共同プロジェクトとして2004年に開始された。特に年齢に伴う低下が大きい下半身の筋力の維持と持久力を高めるプログラムの開発に力を入れている。

 中高年に1日に約1万歩のウォーキングをほぼ毎日行ってもらったところ、体重や体脂肪率、血圧、空腹時血糖値が低下し、HDLコレステロールの増加、LDLコレステロールと中性脂肪の低下などがみられた。これらは脂質異常症や2型糖尿病などの生活習慣病を予防・改善するために有用だが、体力面からみたところ、介護や寝たきり予防のために重要な脚筋力や持久力の維持・向上については、思わしい効果を得られなかったという。

 体力は、持久力、筋力、バランス能力、柔軟性など、身体活動に関わるいくつかの要素から構成される。研究では太ももの筋力が高い人ほど最大歩行速度が高く、持久力も高いことが示された。そこで、太ももの筋力を強化すれば持久力が向上し、体力も向上すると考えられ、効果的なウォーキングの方法の開発が始められた。

 身体で消費する酸素の量を示す「酸素摂取量」に着目し、最高酸素摂取量の70%を超える強度の運動を週60分以上実施する「インターバル速歩」が効果的であることを突きとめた。研究で蓄積したデータを解析した結果、血圧、血糖、体格指数(BMI)、中性脂肪などを複合して算出した「生活習慣病スコア」は、最高酸素摂取量が低い人ほど高く、高い人ほど低くなった。

 これまでの研究でも、持久力、筋力が高いと生活習慣病の発症リスクが低くなることが分かっており、運動を行い体力を向上させることで生活習慣病を予防できることが示されている。インターバル速歩による運動を続けた人では最高酸素摂取量が増加し、生活習慣病スコアも低くなった。研究に参加した市民を対象にメタボ改善効果を調べたところ、インターバル速歩を行うと、4月と10月の人数比で「積極的支援が必要」は47%減少し、「動機付けが必要」は24%減少したとしている。

 最高酸素摂取量が70%を超えるインターバル速歩は、「ややきついと感じる速歩」に相当し、これを週平均60分間続けることが効果的だという。

 研究成果は、昨年9月に新潟で開催された第64回日本体力医学会で発表されたほか、英国生理学会が発行する「Journal of Physiology」に掲載された。糖尿病や高血圧などの生活習慣病の改善効果を検証する研究も始められている。

インターバル速歩を支援する「熟大メイト」
熟大メイト
 通常歩行と、目標運動強度の速さの歩行を数分の間隔で繰り返すインターバル速歩は、手軽で簡単に行えるウォーキング法だが、酸素摂取量を測定するためには、医療機関などで呼気ガスを調べる必要が出てくる。そこで、信州大学、JTRC、キッセイウェルコムは、最高酸素摂取量を簡便に計測できる携帯型の運動量計測器「熟大メイト」を共同開発した。

 熟大メイトは、3軸加速度センサーや気圧センサー、脈拍センサーとアルゴリズムを搭載しており、運動量などを簡便に計測することができる。腰につけて12分間の歩行をするだけで計測でき、坂道や階段などの高低差のある場所を歩いたときも、高度変化の計測結果を用い運動量を算出する。

 安静、低速歩行、中速歩行、最高速歩行を3分ずつ行うと、3方向の体の動き(加速度)を計測して「最高酸素摂取量」を推算する。その70%が目標運動強度として「熟大メイト」に自動設定される。

 熟大メイトを腰に装着し、発せられる音に合わせてウォーキングの速度を調節するだけで、インターバル速歩を行える。どのくらいの強度で何分間歩いたかといったデータは熟大メイトに記録され、パソコンへ送信し医療スタッフが見ることもできる。

Beyond epidemiology: field studies and the physiology laboratory as the whole world
The Journal of Physiology, 587, 5569-5575, December 1, 2009.
NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター(JTRC)
信州大学医学部

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