塩分とりすぎで循環器病リスクが高まる「塩分を控えめに」
2010年2月 4日 16:50
 日本人の塩分摂取量は多い。塩漬けの魚や干物などの塩蔵食品を多くとり、塩分をとりすぎる食生活を続けると、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患やがんの発症リスクが高まることが、厚生労働省研究班の大規模調査で確かめられた。
塩分摂取量が多いと循環器疾患リスクが高まる
 この研究は、厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)によるもので、米国栄養学会が発行する医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」2010年2月号に発表された。

 対象となったのは岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の8県に住む45歳から74歳の約8万人。1995年と98年に生活習慣に関するアンケートを行い、6〜9年間の調査期間中の塩分・塩蔵食品の摂取量と、がん、循環器疾患の発症との関連に着目した。

 研究では、対象者を食事の塩分(ナトリウム)摂取量と、塩蔵魚類や干魚、漬物や塩辛、たらこなどの食品の摂取量によって、それぞれ5グループに分け、調査期間中のがんや循環器疾患の発症状況を調べた。期間中に4476人が何らかのがんと診断され、また2066人に循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)の発症が確認された。

 解析した結果、塩分摂取量が多いグループ(1日当たり平均17.8g)は、少ないグループ(同7.5g)に比べ、循環器疾患の危険性が約2割高かった。また、塩蔵食品の摂取量が多いグループは、何らかのがんを発症する危険性が約1割高かった。

 漬物や塩蔵魚の摂取量が多いグループの循環器疾患の危険性は高くならなかった。漬物の野菜に循環器疾患の予防に良いとされるカリウム・抗酸化物質など栄養素が、魚介類にはEPAやDHAなどn-3系の不飽和脂肪酸が多く含まれるためとみられる。

血圧を下げるために塩分を控える
 塩分のとりすぎが高血圧と関連があることはよく知られている。塩分をとりすぎていると、血圧が高くなり、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の危険を高めることが、これまでの研究でも確かめられている。

 研究班では「塩蔵食品を控え、食卓や調味でのしょうゆや塩分、味付けを控えることで、がんと循環器疾患のどちらも予防できるだろう。魚は心筋梗塞の予防になるので、塩蔵や干物の魚類を多く食べる人は薄味や生鮮ものを選ぶと良いのではないか」と述べている。

 高血圧は日本人に多い病気で、2000年の第5次循環器疾患基礎調査によると、30歳以上の男性は約51.7%、女性は39.7%が高血圧(140/90mmHg以上)となっている。今回の研究では、日本人の平均的な塩分摂取量は欧米人に比べ多く、塩蔵食品以外の調味料などからの塩分の割合も高いことが、あらためて確かめられた。

 塩分摂取量を減らすと、高血圧患者では血圧が下がることが、さまざまな研究で示されている。それに加えて減量、野菜などを積極的にとる食生活、運動、禁煙・節酒などの生活習慣の改善により血圧を下げることが期待でき、降圧薬で治療している患者では薬の減量につながる。このことは高血圧以外の心血管病や、腎臓病の予防・改善においても重要で、糖尿病の治療とも重なる部分が多い。

 日本人の平均的な1日の塩分摂取量は少しずつ減ってきているが、成人男性で11.9g、女性で10.1gと10gを超えている。日本高血圧学会がまとめた「高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」では、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることを勧めている。

多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(JPHC Study)
Consumption of sodium and salted foods in relation to cancer and cardiovascular disease: the Japan Public Health Center?based Prospective Study
American Journal of Clinical Nutrition, 91: 456-464, 2010

関連情報
食塩制限運動、5年で25%削減目指す ニューヨーク市(糖尿病NET)

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら