ホメオパシー療法は根拠なし 「医薬品の適正使用を」と日本薬剤師会
2010年9月10日 10:01
日本薬剤師会は、民間療法「ホメオパシー」について、「効能・効果が科学的に確認されていない『医薬品類似物』が医療現場で使用されることは、安全な医薬品使用を確保する観点から重大な問題だ」との考えを表明した。
ホメオパシーは、ある物質を入れた水を極端に薄め、砂糖玉にしみこませて用いる“療法”で、科学的医療が確立する以前に、民間療法や伝統療法のひとつとしてとして欧米各地で広まった。「副作用のない治療法」とされているが、ある物質を10の60乗倍希釈した、ほぼただの水を染みこませた砂糖玉なので、副作用があるはずはなく治療効果もない。
日本学術会議が8月26日の会見で、民間療法「ホメオパシー」の科学的根拠を全面否定する会長談話を出した。日本薬剤師会も同日、これを支持する見解を発表した。
医薬品を扱う専門職である薬剤師は、医薬品の適正使用を促進する立場にある。同会では「科学的にエビデンスが明確に証明されていない、曖昧な医療類似行為を医療従事者が行うことは、患者の適切な医療を受ける機会を損ない、症状の悪化を招来し、時として死に至らしめる可能性も否定できない」、「安易にこうした行為を行うことは厳に慎むべき」と強調している。
民間療法や伝統療法と呼ばれる行為を行うことは、個人の自由であるので禁止はできない。ホメオパシーについて過去には“治療効果がある”と主張する論文が出されたこともある。
この点について、学術会議会長談話では「“効くはずだ”という先入観が判断を誤らせ、プラセボ(偽薬)と同じ心理的な効果がうみだした」と説明。「治療として有効性がないことは科学的に証明されている。英国下院科学技術委員会は徹底した検証の結果、ホメオパシーの治療効果を否定している。たとえプラセボとしても、医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められない」と指摘している。
社団法人日本薬剤師会 定例記者会見