たばこが肺の老化を促進 自治体対策や禁煙治療に期待
2010年10月 5日 19:10
 喫煙は体にさまざまな悪影響をもたらす。循環器疾患に対する悪影響はとりわけ深刻で、肺機能の低下がともなうと、肺の老化も進みやすくなる。もっとも効果的な対策は「禁煙」すること。
 たばこ増税により禁煙に対し意欲的な人が増える一方で、自治体の受動喫煙対策の効果も大きいとする調査結果が発表された。
肺年齢:「喫煙あり+循環器疾患あり」では14.8歳高い
 喫煙は循環器や呼吸器にあきらかな悪影響をもたらす。肺がんをはじめとするがん、虚血性心疾患、慢牲気管支炎、肺気腫など閉塞性肺疾患、消化器疾患など、さまざまな病気の原因にもなる。

 なかでも肺機能の低下は深刻で、喫煙者の「肺年齢」は実年齢より14.8歳高くなるという調査結果を、製薬会社のファイザーが発表した。調査は、企業で働く40歳以上の定期健診受診者657人を対象に実施。肺年齢スパイロによる肺年齢測定を実施した。

 日本呼吸器学会が提唱する肺年齢は、スパイロ検査と言われる呼吸機能検査でわかる1秒量(FEV1)と身長、性別から計算する。呼吸機能は年齢が高くなるにつれ低下していくが、同性・同年代の人と比べて自分の呼吸機能がどの程度であるのかを分かりやすく示した指標が「肺年齢」。同学会は、呼吸器疾患と肺の健康に対する関心を高めてもらい、早期治療を促すために肺年齢を提唱している。

 それによると、肺年齢と実年齢の平均差は、「喫煙歴・循環器疾患ともにあり」(51人)で14.8歳、「喫煙歴あり・循環器疾患なし」(244人)で11.9歳、「喫煙歴なし・循環器疾患あり」(64人)で8.5歳、「喫煙歴・循環器疾患ともになし」(298人)で6.7歳だった。

 喫煙により肺年齢の老化が加速するが、さらに循環器疾患があることで肺年齢の老化が進みやすいことが示唆された。肺年齢が実年齢より19歳以上高いと、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の危険性が高まるという。

 調査結果について、瀬戸口靖弘・東京医科大学内科学第一講座(呼吸器内科)教授は、「肺機能の老化が進む病気の代表であるCOPDは、全身性炎症性疾患として循環器疾患とも一部共通した発症機序が考えられており、喫煙は両者に共通の発症促進因子となる」と述べている。

 「予防医学の観点から、肺の健康への取り組みは今後ますます重要。健診受診者が肺の健康に興味をもつきっかけとして、肺年齢測定のより有効な活用が望まれる」としている。

受動喫煙防止策 神奈川県が4月に条例施行
 10月1日から実施されたたばこ増税をきっかけに、禁煙を望む喫煙者が増えている。同じくファイザーが今年8月〜9月に、インターネットで行った喫煙者の実態調査によると、「タバコの値上げをきっかけに、禁煙に挑戦する」と回答した人が半数以上に上った。調査の対象となったのは全国都道府県別200人ずつ、計9400人の喫煙者。

 一方で、禁煙に対する意識や理解は、都道府県によって差があるようだ。自治体の受動喫煙対策が影響していることが浮き彫りになった。「禁煙に成功する自信がある」という人の割合は都道府県で差がひらき、禁煙に成功する自信がもっとも高かったのは宮城県(62%)で、もっとも低かったのは徳島県(36%)だった。

 神奈川県は受動喫煙を防止する条例を全国にさきがけて施行した。同県の喫煙者は、居住地域の受動喫煙対策を充分と感じている割合が全国でもっとも高かった(50%)。最近、たばこを吸いづらいと感じている割合(85%)も全国で2番目。日本初の受動喫煙防止条例が確実に喫煙者に影響を及ぼしていることを裏付ける結果となった。

 作田学・日本禁煙学会理事長は「たばこ増税は、喫煙者の禁煙意向を促進しているという点で、大きな効果をあげている。一方で、禁煙に成功する自信は喫煙者全体でも半数程度で、すぐにでもタバコをやめられると思っている喫煙者は3分の1以下だった」と述べている。

 「禁煙を成功させるために効果的な方法は、医療関係者による適切な指導と禁煙補助薬による禁煙治療であることは、さまざまな研究からもあきらか。せっかく禁煙に挑戦する人たちには医療機関で禁煙治療を受けることをお勧めする」としている。

ファイザー(株)

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