テレビの前ですごす時間が長いと心疾患の危険が高まる 英研究
2011年1月19日 10:15
座ったままテレビを見たりビデオゲームで遊ぶ時間の長い人では、心疾患の危険性が高まる傾向があるという研究が発表された。研究者らは「座ったまますごす余暇の時間を減らし、もっと運動した方が良い」とアドバイスしている。
1日4時間以上テレビを見る人はリスクが2倍に
英ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ(UCL)のEmmanuel Stamatakis氏らの研究チームは、スコットランド国民健康調査に参加した成人4512人(男性 1945人、女性 2567人)のデータをもとに調査した。テレビの視聴やテレビゲームなど、余暇時間に画面を見ながら費やす時間の長さと、心血管疾患(CVD)の発症との関連を調べた。
その結果、テレビなどの画面の前に座ってすごす時間が1日4時間以上のグループでは、全死因による死亡が1.48倍に増え、CVDイベントは1.25倍に増えていた。1日2時間未満のグループと、1日4時間以上のグループを比較したところ、死亡リスクは後者の方が48%高かった。
喫煙、高血圧、体格指数(BMI)、運動といった要因を調整して解析しても結果は変わらなかったが、炎症や脂質異常との関連性を見出すことができた。
テレビの前に座ってすごす時間が長いと心疾患イベントが増える傾向の多くは、C反応性蛋白(CRP)、BMI、LDLコレステロールにより説明できるという。肥満や炎症マーカーとして使われるCRPや、悪玉とされるLDLコレステロールは、いずれも高値になると心疾患の危険因子となる。テレビの前に座っていた時間が1日4時間以上のグループでは、2時間未満のグループに比べCRPが2倍近く高かった。
「運動や身体活動を増やせば、健康をおびやかす危険性を低下することができる。座ったまますごす時間をなるべく減らし、余暇時間に運動することを促す対策が必要だろう」とStamatakis氏は述べている。
この研究は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」1月18日号に発表された。
本文を一部訂正いたしました。(2011年2月1日更新)
Screen-Based Entertainment Time, All-Cause Mortality, and Cardiovascular Events
Journal of the American College of Cardiology, 2011 57: 292-299
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