葉酸、ビタミンB6で心血管疾患のリスクが低下 5.8万人を調査
2011年7月19日 19:44
 食事で葉酸やビタミンB6を十分にとっている人では、そうでない人に比べ、心不全や脳卒中、冠動脈疾患(CHD)などの心血管疾患による死亡リスクが低下することが、磯博康・大阪大学大学院医学系研究科教授(公衆衛生学)らの研究チームの調査で分かった。

 葉酸は、ほうれん草の抽出物から発見されたビタミンB群の一種。ほうれん草や芽きゃべつ、モロヘイヤなどの野菜や、レバーなど動物性食品にも含まれる。
葉酸やビタミンB6が不足すると、血中ホモシステインが上昇
 この研究は、40〜79歳の男性2万3119人と女性3万5611人を対象に、平均14年にわたり追跡調査した大規模コホート研究「JACC Study」。これまでに日本人を対象に食事による葉酸やビタミンB類の摂取と心疾患リスクとの関連を調べた研究は少ない。

 研究チームは、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の摂取量により5つのグループに分けた。葉酸は、(1)272μg/d未満、(2)272〜351μg/d、(3)352〜430μg/d、(4)431〜535μg/d、(5)536μg/d以上。ビタミンB6は(1)0.79mg未満、(2)0.79〜0.96mg、(3)0.97〜1.11mg、(4)1.12〜1.32mg、(5)1.33mg以上。ビタミンB12は(1)4.5μg/d未満、(2)4.5〜5.9μg/d、(3)6.0〜7.6μg/d、(4)7.7〜9.8μg/d、(5)9.9μg/d以上。

 期間中に死亡した数は、脳卒中986人、冠性心疾患424人、心疾患2087人だった。年齢、体格指数(BMI)、喫煙、アルコール、高血圧症や糖尿病の既往歴、脂肪の摂取などの影響を取り除いて解析したところ、葉酸やビタミンB6の摂取量のもっとも多いグループともっとも少ないグループとでは、心疾患などによる死亡リスクに明白な差が出た。

 リスク低下の寄与が大きい疾患は男女で異なっており、摂取量がもっとも多い(5)と、もっとも少ない(1)を比べたところ、男性では心不全の死亡リスクが葉酸で50%、ビタミンB6で61%低下していた。女性では虚血性心疾患の死亡リスクが葉酸で43%、ビタミンB6で53%低下していた。

 「葉酸やビタミンB6をよくとっている人では、心疾患を予防できている可能性がある。これらの栄養素を食事で十分にとることを心がけるとよいだろう」と磯教授は話す。

 心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす動脈硬化の原因として、LDL(悪玉)コレステロールがよく知られているが、最近の研究で注目されているのは、アミノ酸の一種である「ホモシステイン」。

 ホモシステインは、肝臓で行われるアミノ酸(システイン)の代謝過程で一時的につくられる。葉酸やビタミンB6が不足すると、システインへの代謝が低下し、血中のホモシステイン量が上昇する。その結果、活性酸素が生じ動脈硬化の原因になる。

 研究者らは「葉酸とビタミンB6が、血中ホモシステイン濃度を低下させ、心疾患からの保護作用をもたらしている可能性がある」と説明している。

 葉酸は野菜や果物、全粒粉、豆類などに多く含まれ、ビタミンB6は野菜、魚、レバー、肉、全粒粉などに多く含まれる。葉酸の推奨摂取量は、男女とも1日に240μg程度。平成20年の国民健康・栄養調査によると、男性は平均312μg/日、女性は平均294μg/日を摂取している。

 この研究は医学誌「Stroke」に発表された。

Dietary Folate and Vitamin B6 and B12 Intake in Relation to Mortality From Cardiovascular Diseases
Stroke, 2010, 41: 1285-1289 Published online before print April 15, 2010
Diet high in B-vitamins lowers heart risks in Japanese study(米国心臓学会 2010年4月15日)
JACC Study

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