「肥満になると血圧が上がる」メカニズムを解明 東北大
2011年8月10日 18:06
 肥満になると高血圧になるメカニズムを東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(代謝学)、宇野健司助教(分子代謝病態学)、岡芳知教授らの研究グループが解明した。肝臓に脂肪がたまったときに生じる神経信号が関与し、高血圧が引き起こされるという。
体重を増やさないメカニズムが高血圧を誘発
 摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーは中性脂肪などにつくりかえられ、体にたくわえられる。中性脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪に加え、肝臓にも蓄えられる。

 研究者らによると「もともと体には過食の際に代謝を活発にし、体重が増えないようにするメカニズムが備わっている」という。肝臓には摂取エネルギーに応じて脂肪の蓄積量が変える「調整機能」がある。肝臓がエネルギー蓄積のセンサーとして働き、栄養をとりすぎると基礎代謝を活発にし、体重が増えないように調節していると考えられている。

 しかし現代人の食生活では、過食や多量飲酒などでエネルギーのとりすぎが日常化している。そのため、肝臓に備わっている体を守るためのに調整機能が、逆に交感神経を活性化させてしまい、高血圧の発症につながっているおそれがあるという。

肝臓からの神経信号が関与 メタボの新たな治療法へ
 交感神経が活性化すると血圧が上昇し、肥満の人では交感神経が活性化しやすい傾向があることは、これまでも分かっていた。

 研究グループは以前の研究で、肝臓に脂肪が蓄積したときに出る神経信号が、過食時に交感神経活動を高め、代謝を活発にすることを発見。肝臓がエネルギー蓄積のセンサーとして働き、体重をすぐに増えないようにしていることを解明していた。

 肥満でないマウスを使い、肝臓の脂肪を増やす遺伝子を注入したところ、血圧が上昇することを確認。この肥満マウスで肝臓が発信する神経信号を遮断すると、血圧上昇が起こらなかった。さらに、肥満のマウスでも神経信号を遮断すると、非肥満のマウスと同様に血圧が上昇しなかった。この神経信号が肥満の際の血圧上昇に関わることを突き止めた。

 過食や運動不足などの生活習慣が原因となる肥満は、糖尿病・高血圧・高脂血症などを併発し、メタボリックシンドロームにつながる。メタボ患者では、動脈硬化が起こりやすく、患者数も増えており、医学的にも社会的にも大きな問題となっている。

 研究者らは研究成果について「メタボリックシンドロームの主徴候である高血圧が生じるメカニズムを解明し、発症機序にもとづく新たな治療法の開発にもつながる」と述べている。

 研究は、欧州循環器学会誌「European Heart Journal」オンライン版に8月9日付で発表された。

「肥満になると血圧が上がる」メカニズムを解明 〜メタボリックシンドロームの発症機序明らかに〜(東北大学 2011年8月9日)
Hepatic peroxisome proliferator-activated receptor-γ--fat-specific protein 27 pathway contributes to obesity-related hypertension via afferent vagal signals
European Heart Journal, 2011, doi: 10.1093/eurheartj/ehr265

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら