加齢とともに悪化しやすい歯周病 口腔内のバイオフィルムが原因
2011年11月14日 14:31
 歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、糖尿病や心臓病など全身疾患とも関連の深い病気だ。原因となるのは口腔内の「細菌の塊(バイオフィルム)」だという。このバイオフィルムは、歯磨きや口内清掃を習慣化しないと取り除くことができない。
歯と歯肉の間のバイオフィルムから毒素 歯肉炎に進展
 厚生労働省の2005年歯科疾患実態調査によると、全体の7割以上が1日2〜3回、毎日歯磨きしているにも関わらず、30歳以上の約80%以上が歯周病をもっている。歯周病は“国民病”ともいえる疾患だ。

 歯周病は、歯周病菌が歯茎に感染し、炎症(出血)を起こす病気で、糖尿病や心臓病など全身疾患とも関係する恐ろしい病気だが、直接の原因は歯茎の周りに付着する「バイオフィルム(細菌の塊)」だという。

 口の中には、300〜700種類の細菌が存在しており、この細菌がヌルヌルした糊状のバリアを出しバイオフィルムとなる。バイオフィルムは、歯の表面や歯周ポケットにつき、自らが出す糊状の物質でバリアを張る。これが毒素をもった老廃物を排出し、体にさまざまな悪影響を及ぼす。

 鴨井久一・日本歯科大学名誉教授は、「歯周病は、歯と歯肉(歯茎)の間に溜まったバイオフィルムから排出される毒素などによって炎症が起こる歯肉炎という初期段階を経て進行する」と話す。

 歯肉炎を放置し、炎症が進み「歯周炎」になると、バイオフィルムが歯周ポケットを作り、歯を支える骨を破壊していく。最終的には、歯を支える骨がほとんどなくなり、グラグラになって“噛む”ことができなくなったり、歯が抜けてしまったりすることもある。

 また、バイオフィルムは、唾液や血中のカルシウムやリン酸と結合して歯石を形成し、バイオフィルムの歯周病菌が産生する酵素は、蛋白質を分解して硫化水素やメチルメルカプタンを発生して、口臭の原因となる。

 このバイオフィルムを除去しないでおくと、歯周病菌がネバネバした糊状の防護膜(グリコカリックス)をつくり、簡単に膜を取り除けなくなるという。

 鴨井氏は「歯周病はバイオフィルムを主とした慢性炎症性疾患だ。一般的に慢性歯周炎と呼ばれ35歳以上に発症し、虫歯と比べて痛みが少ないのが特徴となる。10代、20代で発症しても急激な症状がないため、特殊な歯周炎(侵襲性歯周炎など)を除いて放置されている場合が多い。

 歯周病は、かつては老化現象のひとつにあげられ、歯槽膿漏症がひどくなったら、歯を抜いて入れ歯をするのが一般的な処置法だった。しかし現在は歯周病を代表とした慢性感染症を予防し、80歳で20本、自分の歯を残す予防概念が国民に深く浸透してきた。

 歯周病は、体調不良などによる免疫機能の低下や、良く噛まない、喫煙、歯を磨かないなど生活習慣の乱れがあると進展しやすくなる。また、ストレスや加齢で進む口内の乾燥はバイオフィルムを増大させるので、ネバネバが生じやすくなる。生活習慣の見直しをはかり、食後の歯磨き、口内清掃の習慣化、禁煙、間食の制限をするなど、規則正しい生活が望まれる」と述べている。

ジョンソン・エンド・ジョンソン

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