少量のアルコールでも乳がんリスクは上昇 米研究
2011年11月15日 16:37
乳がんのリスクと飲酒習慣の関係を調べた米ハーバード大医学部などの研究で、女性では週にグラス3〜6杯のワイン程度でもリスクが上昇するとの結果が出た。
1日当りワイン2杯の女性では、リスクが51%上昇
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院と米ハーバード大学医学部の研究チームは、アルコール摂取と乳がんの発症の関連を調べるため、大規模臨床研究「ナース・ヘルス・スタディ(NHS)」に参加した米国の女性10万6000人のデータを分析した。1980〜2008年の4年ごとに、女性のアルコール摂取について調査した。
研究は米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)の11月2日号に発表された。
調査期間中に、約7700人の女性が浸潤性の乳がんと診断された。1日に5〜9.9グラムのアルコール(ワインを1日当たり0.5杯あるいは週3〜6杯に相当)を飲む女性では、まったくアルコールを飲まない女性に比べ、乳がんを発症する可能性が15%上昇することが分かった。
さらに、1日当りワイン2杯あるいは30グラムのアルコールに相当する量を飲んだ女性では、乳がんの危険性が51%上昇していた。
「アルコールの摂取量が少ない女性であっても、乳がんの危険性は少し上昇することが示された」とブリガム・アンド・ウィメンズ病院のWendy Chen氏は話す。
乳がんリスクが上昇する傾向は、低い年齢層から飲んでいたグループも、40歳代から飲み始めたグループでも差はなかった。このことは、飲酒を途中でやめてもリスクの低減にはつながらない可能性を示している。
Chen氏は、飲酒が乳がんリスクを高める理由は不明としながらも、「アルコールが女性ホルモンであるエストロゲンの循環レベルを上昇させることが原因のひとつかもしれない。高値のエストロゲンは乳がんに関連する」と話す。
しかし、「研究は長年にわたり累積的なアルコール摂取を調査したのが特徴となっている。必ずしも女性がアルコールを全く飲まない方が良いというわけではなく、休暇や休日のパーティーなどで過度な飲酒をする程度であれば気にするほどではないだろう」としている。
従来の研究で、適度の飲酒で心疾患による死亡率が下がるとの報告もある。研究者は「アルコールを全く飲まない女性では、赤ワインの適度な摂取による心疾患の低下という有益性が相殺される以上に、乳がんの低下という潜在的な有益性を得られる可能性がある。それぞれの女性が自分自身で飲酒によるリスクと利点を知っておくべきだ」と述べている。
As Few As 3 Drinks a Week May Up Breast Cancer Risk(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 2011年11月1日)