7つの健康習慣 6つ以上実行すると心疾患の死亡リスクが半減
2012年3月26日 09:25
心血管の健康を維持し心疾患を予防するために勧められている健康習慣7項目のうち6つ以上を満たしている人では、1つ以下の人に比べ、約14年後の全死亡(すべての原因による死亡)のリスクが51%低下、心血管疾患(心臓や血管など循環器の病気)による死亡リスクは約70%低下し、がんの発症も抑えられていたとの研究結果が発表された。
この研究は、米国民保健栄養調査(NHANES)に参加している20歳以上の成人4万4,959人のデータを解析したもの。米疾病対策センター(CDC)のQuanhe Yang氏らが、米国医師会が発行する「Journal of the American Medical Association」に3月16日付で発表した。
米国心臓学会(AHA)が勧奨している心血管の健康維持のための7項目とは、▽喫煙しない、▽血圧値、血糖値、コレステロール値を正常に管理・維持する、▽健康的な食事、▽運動を習慣として行う、▽体重を適正に維持する。
研究チームはこれらの7項目の健康習慣の実行度と、全死因や心血管疾患による死亡にどのように影響しているかを調べるために、NHANESに参加している20歳以上の成人4万4,959人を対象に1988〜94年、1999〜04年、2005〜10年の調査結果を解析し、NHANESIII(1988〜94年)の死亡記録なども解析した。
7項目すべてを満たしている人の割合は、1988〜94年で2%、2005〜10年で1.2%と少なかったが、中央値14.5年の追跡期間中で、7項目中6つ以上を満たしている人では、1つ以下の人に比べ、全死亡のリスクが51%、心血管疾患死リスクが76%、虚血性心疾患死リスクが70%低下していた。
「喫煙と肥満を抑制し、運動を促進し、血圧値とコレステロール値を管理・治療することが重要であることが、あらためて示された。健康的な食事の影響も大きい」とYang氏は話す。
米連邦保健福祉省(HHS)は米国の国民健康運動「Healthy People 2020」(HP 2020)を展開し、国を挙げて予防医療の促進に取り組んでいる。2020年に全米の心血管疾患および脳卒中による死亡率をそれぞれ20%に低下させる目標が設定されている。米国では心血管疾患による死亡者数が年間約80万人に達している。人口の3人に1人以上が心血管疾患で死亡している計算になる。毎年の直接医療費は約23兆円(2730億ドル)に達し、経済負担の総額は約37兆円(4440億ドル)に上る。
「7項目の健康習慣の認知と実行を普及させるポピュレーションアプローチにより、目標達成は十分に可能だ」と研究者は述べている。
Trends in Cardiovascular Health Metrics and Associations With All-Cause and CVD Mortality Among US Adults
Journal of the American Medical Association, Published online March 16, 2012.doi: 10.1001/jama.2012.339