食事由来コレステロールよりはTGとアポB48が血管内皮機能に影響
2012年8月13日 08:48
 既知の危険因子の管理のみでは十分に抑止できない動脈硬化進展の残された危険因子として、食後高脂血症が注目されている。さきごろ開催された第44回日本動脈硬化学会学術集会(7月19〜20日・福岡)では、食後高脂血症に関する新たな知見として、動脈硬化の最初期の病変である血管内皮機能に影響を及ぼすのはTGrichリポ蛋白であり、食事由来コレステロールの直接的な影響は小さい可能性が発表された。帝京大学医学部内科・沼倉舞子氏らの研究報告。

 食事摂取によるトリグリセライド(TG)の上昇に伴い、血管内皮機能を示す指標である「FMD(Flow Mediated Dilation)」が低下することは既に知られている。また、小腸からのコレステロール吸収を阻害するエゼチミブが食後FMDを改善することが報告されており、その機序として、TGrichリポ蛋白の増加抑制を介した経路の影響が考えられている。

 しかし、エゼチミブの主作用である小腸におけるコレステロール吸収の抑制も、FMD改善に寄与している可能性も否定できないことから、沼倉氏らはコレステロール吸収マーカーを測定。TGとFMDの間にみられる相関と同様な関係が、コレステロール吸収マーカーとFMDの間にもみられるか検討した。

食後のFMD低下率と、TG、アポB48、コレステロール吸収マーカーを比較
 対象は19歳から21歳の健常者6名。食前と食後4時間にFMDを計測するとともに、脂質関連指標としてTGと総コレステロール(TC)、およびアポB48を測定した。

 アポB48は小腸で合成されるアポ蛋白で、TGrichリポ蛋白であるカイロミクロンを構成する。その高値は食後高脂血症の存在を示し、動脈硬化惹起性の高い病態のマーカーとしてクローズアップされている。

 これらに加え、小腸からのコレステロール吸収マーカーとしては、シトステロールとカンペステロールを測定した。

コレステロール吸収マーカーはFMD低下と相関せず
 食事の前後で比較すると、従来の報告と同様にFMDは食後に低下することが確認された。また、TG、アポB48が食後に上昇したのに対し、TCやシトステロール、カンペステロールに有意な変化はなかった。

 次に、食事負荷によるFMDの低下率と各指標との相関をみると、食前のTG、アポB48よりも食後TG、アポB48が、より強くFMD低下率と相関していた()。シトステロールやカンペステロールは、食前、食後のいずれもFMDの低下率との相関がみられなかった。

食前および食後のアボB48値と、食事によるFMD低下の関連

 以上の結果より、アポB48を含むTGrichリポ蛋白が血管内皮機能障害に重要な役割を担っていると考えられた。その一方、小腸からのコレステロール吸収率の血管内皮機能に与える影響は小さいと考えられた。

 これらの新たな知見は、動脈硬化進展の残された危険因子の一つである食後高脂血症において、その治療ターゲットを明確にするのに役立ちそうだ。


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