「エコノミークラス症候群」を予防 ポイントと注意点
2012年8月22日 15:53
 旅客機や列車で起こりやすい「エコノミークラス症候群」。原因のひとつは、長時間同じ姿勢でいること。座席が狭い旅客機のエコノミークラス席を利用するとリスクが高くなることから、「エコノミークラス症候群」とも呼ばれている。いくつかのポイントと注意点を知っていれば予防できるという。
予防法は「頻繁に立ち上がる」「ふくらはぎをストレッチする」など
 エコノミークラス症候群は、正式には「深部静脈血栓症」や「肺塞栓症」と呼ばれる。長時間足を動かさずに同じ姿勢でいると、足の深部にある静脈に、血のかたまり(深部静脈血栓)ができて、この血のかたまりの一部が血流にのって流れて肺の動脈を閉塞してしまうのが肺塞栓。呼吸困難を引き起こすほか、最悪の場合は死亡することもある。

 初期におこる症状としては、大腿から下の脚の発赤、腫脹、痛みなどがある。足にできた血栓が肺に詰まると、胸痛、呼吸困難、失神などの症状が出現し、危険な状態になる。こうした症状があらわれたら、急いで医療機関を受診する必要がある。

 深部静脈血栓症の原因のひとつは、長時間同じ姿勢でいること。座席が狭くて長時間搭乗する旅客機のエコノミークラス席を利用した場合、発症する確率が高いことが知られており、「エコノミークラス症候群」と呼ばれている。

 しかし、米国胸部医学会の新しい診療ガイドラインでは、「血栓症のリスクを上昇させる要因は、エコノミークラス席の利用自体にあるのではなく、長距離フライトで長時間同じ姿勢を取り続けることにある」としている。

 「列車やバスなどに乗っていても発症する可能性があり、また、深部静脈血栓症リスクを左右するのは座席のクラスではなく、席が通路に近いかどうかである」とカナダのマックマスター大学医学部のMark Crowther氏は述べている。

 「窓側席で長距離を飛行すると血栓症リスクが上がるのは、動ける範囲が制限されるからだ。窓側の席に座ると、通路に出るのに他の人に動いてもらうのがためらわれ、長時間座りがちになる」と説明している。

 この他にも危険因子があるとリスクは上昇する。リスクが高いのは、血栓症の既往歴のある人、凝固系に異常のある人、運動機能に障害のある人、肥満のある人のほか、高齢者、搭乗前に手術やけがを経験した人、妊娠中の人、エストロゲン補充療法(経口避妊薬を含む)を受けている人など。

 糖尿病の人は、血糖値が高い状態が続くと、血液が固まりやすくなっており血栓症が起こりやすい。また、動脈硬化が進行していると血栓が詰まりやすくなるが、糖尿病は動脈硬化の危険因子なので、この点でも関連性はある。

 ガイドラインでは、血栓症のリスクが高い旅行者が6時間以上のフライトを利用する場合、下記のことを推奨している――

  • 長時間同じ(特に機内などでの窮屈な)姿勢でいないようにする。
  • 頻繁に立ち上がり、機内を歩き回る。
  • 足や足の指をこまめに動かす。ふくらはぎの筋肉を延ばしストレッチする。
  • できるだけ通路側の席を確保する。
  • 膝下の弾性ストッキング(圧迫力の強い医療用ストッキング)を着用する

 一方で、水分の摂取不足により発症リスクが上昇することを示す確固たるエビデンスはないと指摘した。ただし、「水を飲むことで、立ち上がって洗面所に行く回数が増えるので、よいアイディアではある」とCrowther氏は指摘している。

New DVT Guidelines: No Evidence to Support "Economy Class Syndrome"(米国胸部医学会 2012年7月2日)

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