認知症が急増 65歳以上の1割 厚労省推計
2012年8月28日 17:50
 介護を必要とする認知症の高齢者の数が全国で300万人を超え、65歳以上人口の1割にのぼることが、厚生労働省の推計でわかった。10年ほど前に実施した従来の推計より大きく増えた。高齢化の進行に加え、介護保険制度が定着して要介護認定を受ける人が増えているためと、厚労省はみている。国は、認知症対策の大幅な強化を迫られることになった。
 日本の高齢対策で大きな課題となっている認知症は、「アルツハイマー病や脳梗塞などが原因で、脳の働きが慢性的に悪くなり、記憶の障害や判断力の低下などが引き起こされ、日常生活・社会生活を営めなくなった状態」をいう。

 厚生労働省は、2002年に、要介護認定を受けた人に占める認知症の人の割合から、介護を必要とする認知症の高齢者の数を推計したが、「データが古く、現状を反映していない」と指摘されていた。それによると、2010年に全国で208万人、2015年に250万人、2020年に289万人、2025年に323万人と推計されており、これにもとづいて認知症対策を進めてきた。

 その後、平均寿命が延び、高齢化が進行したことなどから、厚生労働省が改めて推計を行ったところ、認知症の高齢者の数は2010年の時点で280万人で、65歳以上人口の9.5%を占め、前回の推計の1.35倍に増えていたことがわかった。今年の時点で305万人に達し、前回の推計よりおよそ10年も早く300万人を超えたことになる。

 2015年は345万人、2020年は410万人、2025年には470万人に達すると見込んでいる。いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年時点では、高齢者全体の12.8%にのぼる見通しだ。

 認知症の高齢者が、想定を大幅に上回るペースで増え続けていることから、国は、認知症対策の大幅な強化を迫られることになった。厚労省は6月、症状の初期段階から集中的に支援し、認知症になっても地域で暮らし続けられるようにすることなどを柱とする対策をまとめている。小宮山洋子厚労相はこの日の記者会見で、「今回の推計をもとに、5年間の具体的な計画を策定したい」と述べた。

 日本の認知症の原因疾患は、1980年代まで脳血管性が最多とされたが、近年の疫学研究によるとアルツハイマー病がもっとも多い傾向にある。アルツハイマー病を根治できる薬物療法はないので、効果的な非薬物療法により薬物療法を補って治療効果を高める必要がある。

 認知症の対策は、治安や交通、住居の整備など幅広い分野に及ぶため、世界に例のないペースで高齢化が進む日本にとって、国を挙げて取り組むことが求められている。

認知症への取組み(厚生労働省)
みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)

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