COPDの認知度を50%に 医師らが啓発プロジェクトを発足
2012年11月 6日 17:24
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の認知度向上などを目指す「COPD啓発プロジェクト」を、日本医師会や日本呼吸器学会が2010年に設置した「日本COPD対策推進会議」のほか、GOLD(慢性閉塞性肺疾患に対するグローバル・イニシアティブ)日本委員会、日本医学会に所属する医師らが立ち上げた。
COPDは肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気。せきやたんの症状が長い期間にわたり続く状態を「慢性気管支炎」、炎症が進んで肺胞が壊れてしまった状態を「肺気腫」といい、この2つがともない「COPD」になる。特に40歳以上で、喫煙歴のある人は注意が必要となる。
「あなたの肺は何歳ですか?」テレビCMで啓発
2013年から始まる次期「国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」では、COPDが“発症予防と重症化予防に取り組む非感染性疾患”に加えられ、COPDの認知度を22年度までに80%に引き上げる目標が掲げられた。これを受けて、同プロジェクトでは現在25%のCOPD認知度を引き上げる啓発活動を、一般国民と医療従事者の双方に対して展開するという。
日本のCOPD患者数は現在、推定500万人以上とも報告されているが、その多くは診断や治療を受けていない。COPDによる死亡率は年々上昇の一途をたどっており、毎年1万5000人以上が亡くなっているという。
10月30日に東京都内で開かれた記者会見で、同プロジェクトの発起人代表の永井厚志・日本呼吸器学会COPDガイドライン作成委員長は、「重症化するまでは咳や痰などの症状から別の病気と診断されることも多く、現在治療中の患者数は20万人程度にとどまっている」と説明した。
COPDは、初期段階では無症状だが、進行すると次第に息切れを起こすようになる。息切れの症状は70歳以上で多く見られるため、団塊世代が70歳代になるまでのこの5年間で何らかの対策を講じないと、患者および医療費の増大が懸念される。
しかし、GOLD日本委員会が2011年に男女1万人を対象に行ったインターネット調査では、COPDの認知度は「どんな病気かよく知っている」(7.1%)と「名前は聞いたことがある」(18.1%)を合わせても約25%で、認知が進んでいない現状が示された。
永井氏は「COPDの認知度が上がれば、同疾患を想定して医療機関を受診する患者が増え、早期の発見・治療につながる」と指摘。中期的な目標として、まず5年間で認知度50%の達成を目指す考えを示した。
今後はテレビCMや新聞を活用し、国民に向けた大規模な啓発活動を展開するほか、日本医師会のネットワークを介し、医師にも啓発活動を行っていくとしている。
同プロジェクトは「あなたの肺は何歳ですか?」「早期発見は、肺年齢チェックから」と呼びかけるテレビCMを制作し、11月1日から全国で放映されている。COPDの患者役に俳優の徳井優さん、医師役に女優の長谷部瞳さんを起用。テレビCMの監修は、慶応大学医学部の別役智子教授(呼吸器内科)が務めた。
COPD啓発プロジェクト