薬の飲み忘れ 生活習慣病の患者の5割は「経験あり」
2012年11月22日 17:21
 患者の46.3%は、生活習慣病(2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症)の処方薬を飲む忘れることがあり、18.3%は自己判断で服用を中止したりしたことがあるとの調査結果が発表された。服薬中止の理由は「症状が改善されたから」がもっとも多かった。
飲み忘れの理由は「うっかり」が8割弱
 生活習慣病(2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症)患者の処方薬の飲み残しに関する調査結果が発表された。患者の46.3%が飲み忘れることがあると回答。いつ飲み忘れるかを聞いたところ「朝」と「夜」がそれぞれ41.0%、45.3%と4割強だった。

 患者が飲み忘れる理由でもっとも多いのは、「うっかり」(75.5%)で、次いで「持ち歩くのを忘れてしまう」(28.8%)、「食事を取らないときがある」(18.7%)と続く。

 医師では、上記以外の理由として、服薬コンプライアンスの問題として指摘される「服薬タイミングがバラバラ」(23.1%)、「効果の実感がない(血糖値や血圧値などを頻繁に測らない)」(19.8%)、「たくさんの薬を飲んでいる」(15.4%)をあげる割合が高かった。これに対し、患者はそれぞれ9.4%、2.2%、5.0%と、さほど問題と考えていないことが示された。

 また、患者に、自分の判断で服用量を減らしたり、服用を中止したりしたことがあるかを尋ねたところ、18.3%の患者が「ある」と答えた。理由としては「症状が改善された」と「面倒だった」がともに38.2%ともっとも高く、「副作用のため」(14.5%)が続いた。

 2型糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、自覚症状がないことも少なくないため、患者が自己判断で服用量を減らしたり、服用をやめてしまいがちだ。

 調査結果について、慶應義塾大学薬学部社会薬学講座の福島紀子教授は、「生活習慣病の患者が長期的に正しい服薬を維持しつづけることは容易ではない。しかし、薬を飲み忘れや、服用そのものを中止により、病気の重篤化や合併症を引き起こしてしまうことも少なくない。患者の治療意識を高め、薬剤の適正使用を推進することが必要だ」と指摘している。

「お薬手帳」を持参する患者は5割未満
 服用されないで残った薬である「残薬」は、日本全体で金額にして500億円にもなるという報告がある。残薬は、▽有効期間が明確ではない、▽異なる病状で全く違う薬が使われる可能性がある、▽子供が誤って飲むと危険な場合がある、などの理由で問題にされている。

 調査では、生活習慣病の薬を飲みきれずに余らせたことがあるかについて患者に質問した。結果、30.3%が「ある」と答えており、多くの残薬が実際に発生している現状が示された。

 一方、今年の4月以降に生活習慣病の薬の飲み残しを薬剤師から確認されたことがあるかを尋ねたところ、「確認された」と答えたのは24.0%で、残薬確認の実施は十分に行われていない現状が浮き彫りになった。

 また、処方された薬の名前や飲む量、回数などの記録(薬歴)を記した「お薬手帳」について、99%は「知っている、聞いたことがある」と回答したが、実際にお薬手帳を薬の処方時に持参しているか尋ねたところ、「いつも持参している」と答えた割合は46.6%と半数だった。

 こうした現状について、福島教授は「薬剤師と患者とのコミュニケーションを密にし、服薬アドヒアランスを向上させ、患者の積極的な治療参加を促すことが大切だ。飲みにくい薬がある場合には、飲みやすい剤型に変更することや、複数の薬剤を服用されているケースでは、経過観察を十分に行い医師と連携をとり、薬剤の整理をすることも大切となる。それでも服用数が多い場合は、複数の薬を組み合わせて一つにした配合剤への変更も服薬状況の改善の選択肢のひとつとなる」と解説している。

 調査は製薬企業のファイザーが10月に、患者300人、医師・薬剤師それぞれ100人ずつを対象に行った。

ファイザー

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