健康診断の判定基準を改訂 150万人の調査結果を反映 人間ドック学会
2014年5月 9日 20:20
 日本人間ドック学会と健康保険組合連合会はこのほど、血圧や血糖値、コレステロール値、肥満度などについて、健康診断や人間ドックで「異常なし」と判定する血液検査の新たな基準範囲を策定すると発表した。

 日本人間ドック学会などが新たに策定する基準の範囲は、「健康な人」の検査値であり、高血圧学会や糖尿病学会など専門学会の診断基準の値とは異なるが特徴となる。

 同学会は調査研究委員会(渡辺清明委員長)を設け、同学会が認定している「人間ドック健診施設機能評価認定」200施設より、約150万人の健診受診者のデータを集積した。新たに予防医学の観点から27項目について、基準範囲を性別、年齢別に作成する。

150万人の人間ドック受診者を調査
 同学会などは、2年間の研究事業(2013年〜14年)を開始した。今後5年間をかけて追跡調査する。

 「新たな健診の基本検査の基準」は、下記の行程を経て作成される。
(1)人間ドック健診受診者個々の健診結果データを解析し、新たに予防医学の観点から大規模研究により検査の基準範囲を性別、年齢別に作成する。
(2)人間ドック健診受診者の個々の臨床検査値や他の健診指標を、同じく大規模研究により5年間追跡調査を行い、他の企業定期健診受診者のデータと比較検討し、人間ドック健診の有用性を検証する。

 研究事業では、米国の臨床検査標準である「CLSI」の基準をもとに、(1)がんなどの重大な病気の既往歴がない、(2)高血圧や糖尿病などで薬を服用していない、(3)喫煙習慣がない、(4)飲酒は1日1合未満などの条件により、人間ドック受診者約150万人から約34万人の「健康人」を選び出した。このうち検査値をもとに、1〜1万5,000人の「超健康人」(スーパーノーマルの人)に絞って、「健康」と判断できる数値の範囲を決めた。

 なお、男女差や年齢差によって数値が変わってくるので、性別に加えて、年齢別の基準範囲では、年齢を「30〜44歳(壮年期)」、「45〜64歳(中年期)」、「65〜80歳(高齢者)」の3グループに分けて策定した。

コレステロールや中性脂肪など基準値を大幅変更
 現在、検討中の新しい基準では、現在の基準で正常とされている数値の範囲を、大幅に緩められる見込みだ。コレステロールや中性脂肪など、従来の学会基準と大きく異なるものが少なくない。
 例えば、収縮期血圧は従来129mmHg以下を「異常なし」としていたが、147mmHgでも健康と判定されるようになる。肥満度を表す体格指数(BMI)も、現行25以上は肥満とされているが、男性は27.7まで、女性は26.1までは健康とされる。

 また、LDLコレステロールは、従来は60~119mgを「異常なし」としていたが、45~64歳では男性72~178mg、女性73~183mgは健康とされる。中性脂肪や、アルコールによる肝障害の指標になるγ-GTPなども大幅に変更される。

 人間ドックや企業の健康診断では、同学会が公表している判別値を使う施設もあれば、日本高血圧学会など専門学会が定めた診断基準を利用する施設もあるなど、バラバラな状況だ。

 同学会は「これまでにない大規模調査の結果で求められる新基準を、健診施設などで統一基準として利用してほしい」と説明している。

新たな健診の基本検査の基準範囲 日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー(人間ドック学会2014年4月7日)
新たな健診の基本検査の基準範囲(健康保険組合連合会2014年4月4日)

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