長寿遺伝子「サーチュイン」で認知症を予防 治療法開発へ
2014年11月13日 19:09
 国立循環器病研究センター(国循)、名古屋大、京大の共同研究グループは、長寿遺伝子と呼ばれる「サーチュイン」を脳内で活性化させることで、脳梗塞により引き起こされる血管性認知症の予防ができることを明らかにした。研究成果は米医学誌「ストローク」に発表された。
長寿遺伝子による認知症の予防効果をマウスで確認
 日本における認知症高齢者は2010年の時点で推計439万人。脳の血管障害、脳梗塞や脳出血などによって起こる血管性認知症はその約3割を占め、糖尿病や高血圧などが増えているのを背景に、増加傾向にある。

 現在、その予防には脳梗塞などに使用されている抗血栓薬(いわゆる「血液サラサラ薬」)が一定の効果があると考えられているが、出血性の合併症が起こる可能性があることから、副作用の少ない新たな治療法が求められている。

 そこで注目されているのが、ふだんは眠っているが、飢餓など危機的な状況に陥った時にスイッチが入り、活性化するとされる「サーチュイン遺伝子」。「長寿遺伝子」と呼ばれるこの遺伝子は、老化を抑制する可能性があるとして、現在世界各国で研究が進められている。

 同グループはこのサーチュインの活性化で、脳卒中などの脳血管障害が原因となる認知症を予防できるのではないかと考え、脳のサーチュイン量を通常の2〜3倍に高めるよう遺伝子操作したマウスを作成した。このマウスと通常のマウスに頚動脈を細くする手術を行い、迷路を通らせる実験を行い行動解析をした。

 その結果、通常のマウスでは両側の頸動脈を狭窄させることにより認知機能の障害(認知症)が起こっていたが、サーチュイン遺伝子発現マウスでは認知機能が正常に保たれていた。

 原因を探るため、脳血流を測定したところ、サーチュイン遺伝子発現マウスは頚動脈を細くしたにもかかわらず、脳血流がほとんど減少していないことが判明。

 サーチュインが働くことで、血管を拡張させる物質(一酸化窒素)を合成する酵素が活性化した状態で保たれ、脳血管が拡張していたため、脳血流の維持につながっていた。

 同センターは、サーチュインの働きを強めるとされるポリフェノール「レスベラトロール」を頚動脈狭窄病変のある患者に1年間投与し、効果を調べる臨床研究を計画している。レスベラトールは、ぶどうの果皮や赤ワインなどに豊富に含まれている。

 国立循環器病研究センターの猪原匡史・脳神経内科医長は、「サーチュインの働きを高めることで、脳卒中が原因となる認知症を予防できる可能性がある。将来的には、高齢になると血管病の合併頻度が高いアルツハイマー病もターゲットになる」と述べている。

国立循環器病研究センター
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