1日20分の筋トレで記憶力がアップ うつ症状を軽減する効果も
2014年12月 1日 09:53
 運動には記憶力を高める効果や、うつ症状を軽減する効果がある。毎日20分以上の運動を続けると、脳を活性化できることが明らかになった。
1日20分の筋力トレーニングが脳を活性化
 20分の筋力トレーニングを行うことで、記憶力を10%高められることが、米ジョージア工科大学の研究で明らかになった。「運動に毎日取り組むことで、脳を活性化できます」と、研究者はアドバイスしている。

 筋力トレーニングは日常の空いた時間に手軽に取り組める運動だ。直立した状態から膝関節の屈曲・伸展を繰り返すスクワットや、水を入れたペットボトルを両手で持ち、上げ下げするだけでも立派な筋力トレーニングになる。

 通勤途中の時間帯は、座席に腰を下ろさないで、電車に揺られながら立っているだけでも、体のバランス感覚が養われ、体幹を鍛えることにつながる。

 米ジョージア工科大学の研究チームは、46人の被験者を対象に、パソコン画面に90枚の写真を表示して覚えてもらった。写真は、水辺で遊ぶ子供などの明るい雰囲気のものや、足をケガした老人などの暗い雰囲気のものまで、幅広く揃えてあった。

 写真を見せた後で、被験者を2つのグループに分け、片方には筋力トレーニングに取り組んでもらい(介入群)、もう片方は同じ時間、椅子に座ったまま過ごしてもらった(対照群)。運動をするグループは、足の筋肉に負荷をかけ延ばしたり曲げたりする運動を50回行った。

 2日後に参加者に前回に見せた90枚に、新しい写真90枚を混ぜた180枚の写真を見てもらい、どの写真を覚えているかを答えてもらった。

 その結果、筋力トレーニングを行ったグループは平均して60%の写真を覚えていたが、運動をしなかった対照群が覚えていたのは50%だった。

運動をすると脳内の神経伝達物質が増える
 「運動で鍛えられるのはエピソード記憶です。記憶力を増強するために、時間を多くかける必要はありません。適度な運動をすれば、記憶力を高められることが判明しました」と、ジョージア工科大学のリサ ワインバーグ氏は話す。

 「エピソード記憶」は個人的な出来事や経験の記憶で、時間・空間に関連付けられる。例えば、「昨日は外出して○○に行った」「○○と食事をした」というような記憶に相当する。エピソード記憶は年齢が高くなると衰えやすいと考えられている。

 スポーツジムに通って本格的な筋力トレーニングに取り組まなければならないというわけではなく、日常でできる運動で十分に効果を得られるという。

 運動をすると、脳内の神経伝達物質である「ノルエピネフリン」が分泌されやすくなる。ノルエピネフリンが出ると、脳内神経のネットワークがスムーズに作られ、記憶が定着しやすくなる。覚醒や集中、意欲、記憶などに加え、思考の柔軟性にも関わっていると考えられている。

 被験者の唾液を調べたところ、筋力トレーニングを行ったグループでは、ノルエピネフリンのマーカーである「αアミラーゼ」という酵素の濃度が高くなっていた。

 「高齢者の認知症予防にも運動が効果的であることを裏付ける研究結果です。どんな運動をどれだけ行うと記憶力を高められるか、今後の研究で確かめる必要があります」と、ワインバーグ氏は述べている。

運動にはうつ症状を軽減する効果もある
 運動にはうつ症状を軽減する効果があるという研究も発表された。スイスのベルン大学スポーツ科学センターの研究チームは、運動とうつ症状の関連を調べた37件の研究を検討し、4万2,264人を対象に調査をした。

 その結果、運動や身体活動は抑うつ症状の軽減に効果的であり、抗うつ薬と似た作用があると結論づけた。

 運動には、脳内伝達物質であるセロトニンの分泌量を増やし、沈んだ気持ちを盛り上げ、情緒バランスを整える作用がある。それが落ち込んだ気分や減退していた食欲、睡眠障害を改善させる。

 抗うつ薬には、記憶や感情をつかさどる脳内の海馬体の神経細胞の新陳代謝を促す作用があるが、運動にも同じ効果があるという。

 「抗うつ薬には副作用があり、医療費もかかりますが、運動にはそうした問題はありません。うつ病の治療に運動を取り入れれば治療を補完できます」と研究者は指摘している。

Lift weights, improve your memory(ジョージア工科大学 2014年9月30日)
A single bout of resistance exercise can enhance episodic memory performance(Acta Psychologica 2014年10月)
Sport and physical activity help against depressions(ベルン大学 2014年9月16日)
Effects of exercise on anxiety and depression disorders: Review of meta-analyses and neurobiological mechanisms(CNS & Neurological Disorders - Drug Targets 2014年10月)

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら