なぜ糖尿病になると「心の負担」を感じやすいのか 社会心理学で解明
2014年12月 5日 17:40
 京都大学は、日米の糖尿病患者を対象に調査を行い、日本特有の協調性を重視する文化によって、糖尿病患者の心の負担が増加しやすいという調査結果を発表した。
協調性を重視する人ほど糖尿病による心の負担を感じやすい
 研究は、京都大学医学部附属病院の池田香織特定助教と同大大学院医学研究科の稲垣暢也教授らが、同学こころの未来研究センターの内田由紀子特定准教授、高知大学医学部の藤本新平教授、米デラウェア大学のベス モーリング准教授らが共同で行ったもの。研究成果は科学雑誌「PLOS ONE」に10月15日付で発表された。

 糖尿病の治療では生活習慣の変容が求められるが、「心の負担」が伴いやすい。池田特定助教らは、内田特定准教授らとともに、日本と米国の糖尿病患者を対象に、協調性、周囲の人との心のつながり、糖尿病の心の負担を調査し、相互の関連を検討した。

 研究チームは、京都大学医学部附属病院と米デラウェア大学の病院で、外来受診患者を対象として質問紙による調査を行った。文化・社会心理学の領域で用いられる、協調性の程度や身近な周囲の人からの心のサポートを尋ねる質問紙や、糖尿病学の領域で用いられる、糖尿病から生じる心の負担を尋ねる質問紙を用いた。

 その結果、日本人糖尿病患者では協調性を重視する人ほど糖尿病による心の負担を強く感じる傾向があることが判明。さらに、身近な人からの「心のサポート」を強く実感している人では、この負担感が小さいことも分かった。一方、米国人患者ではそのような関連がみられなかった。

身近な人からの共感や励ましが心の負担を軽減する
 糖尿病の治療の目的は、血糖値の改善とともに、健康な人と変わらない生活の質を保つこと。そのために食事療法や運動療法などを日常生活の中に取り込む必要があるが、これを成功に導くための手法はまだ十分整っていない。

 一方、糖尿病の療養を支援する手法は特に北米において検討が進んでおり、日本でもそれらの手法がよく知られているが、糖尿病患者を対象とした調査は少ない。

 今回の研究は、文化・社会心理学の面から、日米の糖尿病患者を比較し、アジアに特有の要因を示した研究として大きな価値をもつ。

 個人の意思や能力が行動に多く影響する米国と異なり、日本などアジアでは、周囲の他者との調和を重視する相互協調性の高い文化や社会が特徴的とされる。

 協調性を重視する程度やサポートの効果には個人差も大きいが、アジアでは身近な人からの共感や励ましが、糖尿病患者の心の負担の軽減やその結果としての治療の成功に効果を発揮しやすいとしている。

 「協調性を重視する程度や周囲からの心のサポートの効果には個人差が大きいが、日本などアジアの国では周囲の他者との調和を重んじる相互協調性の高い文化や社会が形成されています。このことを考慮に入れた治療戦略を確立することで、多くの糖尿病患者の心の負担の軽減やその結果としての治療の成功にも貢献できるようになります」と、池田特定助教は述べている。

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら