職場で始める「感染症対応力向上プロジェクト」 風疹の流行を防止
2015年11月25日 10:16
 インフルエンザやノロウイルスが流行する季節になってきた。職場など人が多く集まる場所で感染が広がるのを防ごうと、東京都と東京商工会議所、東京都医師会は、感染症予防に取り組む企業を後押しする「職場で始める! 感染症対応力向上プロジェクト」を立ち上げた。
成人にも多い風疹 30歳代の男性の3割が免疫不十分
 風疹は数日で自然に軽快することが多いが、稀に急性脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症を起こす場合もあり、免疫のない妊娠初期の女性が感染した場合は難聴・白内障・心疾患などの「先天性風疹症候群」を引き起こすおそれがあるので注意が必要だ。

 風疹の潜伏期間は16~18日で、主な症状として淡紅色の細かい発疹、発熱、リンパ腺の腫れが認められる。ウイルスに感染しても明らかな症状が出ることがないまま免疫ができてしまう(不顕性感染)人が15~30%程度いることが判明している。

 日本では、2012年頃より20歳代から40歳代までの成人を中心に風疹が流行し始め、特に首都圏、関西圏において報告例が相次いでいる。2013年に大流行した風疹は、都内の患者の約9割が20~60歳の働く世代だった。

 風疹は感染力が強く、1人の患者から免疫がない5~7人に感染させる可能性があるという。昨年度、国立感染症研究所が風疹の抗体検査の結果をまとめたところ、検査を受けた30~40歳代の男性のおよそ20~30%の人の免疫が不十分だった。

 風疹の流行を防ぎ、先天性風疹症候群を防ぐためにも、予防接種をきちんと受けて、社会全体で風疹を抑え込んでいくことが必要となる。

 成人の場合は、風疹の予防接種は任意接種(希望者が各自医療機関で受ける予防接種)となる。男女を問わず、予防接種を受けていない人や風疹に罹った覚えのない人は、予防接種を受けることが望まれる。

職場で流行をブロック 東京都、商工会議所、医師会が後押し
 「職場で始める! 感染症対応力向上プロジェクト」は次の3コースで構成される。
▽感染症理解のための従業者研修。
▽職場で感染症患者が発生した場合に、業務を円滑に継続するための対処策の作成をはかるために、事業所単位での事業継続計画(BCP)を作成する。
▽予防接種等協力医療機関を紹介し、従業者の抗体(免疫)保有の確認や予防接種の推奨等を促し、職場ぐるみで風しん予防を図る。

 プロジェクトでは、まず都内の企業に呼びかけて、従業員に風疹の抗体検査や予防接種の確認などをする「協力企業」を募る。そして、従業員にワクチンの接種を勧めるなどして、従業員の9割以上が十分な抗体を得た場合には「達成企業」として「協力企業」とともに東京都のホームページに企業名を掲載することにしている。

 さらに、都医師会は職場に近い予防接種の協力医療機関を紹介する。東商は人事、労務、衛生管理の担当者らを対象に説明会を開き、身近な感染症対策に取り組むことの経営戦略上のメリットなどを解説する。

風疹の抗体検査や予防接種を勧奨
 2013年の風疹大流行の感染経路で多かったのが職場だ。職場は同じ場所で長時間過ごすため濃厚接触が起こり、風疹ウイルスの「中継基地」になりやすい場所だ。通勤電車など人が多い場所や、職場から家庭にウイルスが持ち込まれた場合にも濃厚接触が起こる。

 「中継基地」にならないためには、職場に風疹ウイルスを持ち込ませないことや職場の外に持ち出さないことが重要だ。そのためには、社員への抗体検査や予防接種の勧奨や可能であれば予防接種費用の補助を行うなどの対策を進めていく必要がある。

 東京都健康安全部感染症対策課では、「風疹は数年ごとに流行を繰り返しており、これだけ免疫が不十分な成人がいると、またいつ流行するか分からない。職場での風疹対策が進めば再流行を阻止できる可能性が高まるので、多くの企業がこのプロジェクトに協力してくれることを願っている」と述べている。

職場における風しん対策ガイドライン(国立感染症研究所 2014年3月)
職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト(東京都)

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