テレビの見過ぎでエコノミークラス症候群に 1日5時間未満でリスク1.7倍
2016年8月 5日 10:36
 1日5時間以上テレビを見る人は、エコノミークラス症候群で死亡する確率が高いとの研究成果を、大阪大学の研究チームが発表した。
テレビ視聴時間が2.5~4.9時間
死亡リスクが1.7倍に上昇
 長時間同じ姿勢をとり続けると、脚の静脈に血栓(血液の塊)ができその一部が肺動脈を詰まらせる、いわゆるエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)を起こしやすくなり、場合によっては呼吸困難で命を落とすおそれがある。

 エコノミークラス症候群は熊本地震でも関心を集めたが、実は身近な生活の中にも、これと同じ症状を引き起こす行動があるという。それが「長時間のテレビ視聴」だ。

 大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座(公衆衛生学)の磯博康教授らの研究グループは、長時間のテレビ視聴が肺塞栓症の死亡リスクの上昇と関連することを世界ではじめて明らかにした。

 これまで長時間のテレビ視聴後に肺塞栓症を発症した例はいくつか報告されているが、社会集団の中でこの関連を調査した研究はなかった。

 研究グループは、JACC研究に参加した8万6,024名人を20年間追跡調査したデータを解析、1日あたりの平均テレビ視聴時間などの情報を収集した。2009年末までに59人の肺塞栓症による死亡を確認した。

 JACC研究は1988年に開始されたコホート研究。名古屋大学を中心に、約12万人を対象に、生活習慣とがんや生活習慣病との関連を調査している。

 解析した結果、テレビ視聴時間が1日あたり2.5時間未満の人に比べて、2.5~4.9時間の人では肺塞栓症による死亡リスクが1.7倍に上昇し、5時間以上では2.5倍に上昇することが明らかになった。

 また、特に40~59歳の人で5時間以上テレビを見る人でリスクが高いことも明らかになった。肺塞栓症死亡リスクは、テレビ視聴時間2時間につき40%増加するという。
同じ姿勢をとらず、立ち上がって歩くと予防できる
 肺塞栓症の発症率は日本では欧米に比べて低いとされているが、近年は増加しているとの報告がある。体を動かさない生活習慣が広がっていることが原因になっている。

 「今回の調査は、テレビ視聴と肺塞栓症との関係を示した最初のものとなる。テレビの長時間視聴時に無意識のうちに下肢が動かずに血流がうっ滞している可能性がある。長時間の座位でのパーソナルコンピュータの使用後に肺塞栓症で死亡した例の報告もある」と、磯教授は指摘する。

 エコノミークラス症候群を予防するためには、よく体を動かして、脚の血流を良くすることが大切だ。テレビを長時間視聴するときは1時間に1回は立って、5分程度歩いたり、ふくらはぎをマッサージすると効果的だ。歩いたり、脚や指をこまめに動かし、適度な水分補給を行うと予防できるという。

 なお、このアンケート調査が行われた頃は、現在のようにパソコンやスマートフォン、タブレット端末が普及していなかった。しかし、これらの機器の使用もエコノミークラス症候群の発症に関連している可能性があるという。

 長い間テレビやコンピュータなどを見る時はなるべく同じ姿勢をとらず、休憩を入れたり、立ち上がって歩くと良さそうだ。

 研究は、米国科学誌「Circulation」オンライン版に発表された。

大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座(公衆衛生学)
Watching Television and Risk of Mortality From Pulmonary Embolism Among Japanese Men and Women: The JACC (Japan Collaborative Cohort) Study(Circulation 2016年7月26日)
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