マグネシウムは不足しがち 血圧を改善し体内時計の調整にも役立つ
2016年8月 5日 10:38
 必須ミネラルであるマグネシウムが豊富に含まれる食事を摂っていると、高血圧を抑えられる可能性があることが新たな研究で示された。マグネシウムには動脈を拡張させる作用があり、血圧を降下させる作用があるという。マグネシウムが体内時計の調整にも役立っているという研究も発表された。「マグネシウムを含む食品を過不足なく摂取することが大切」と研究者は述べている。
マグネシウムが血圧コントロールに効果的
 マグネシウムは、体内のほとんど全ての生合成反応や代謝反応に必要な必須ミネラルだ。慢性的な疲労、体重の増加、むくむなどに、マグネシウムの不足が関係しているおそれがある。また、カルシウムとともに骨の健康に必要なミネラルでもあり、カルシウムの作用と密接に関与し、骨の健康を維持している。マグネシウムが足りないと、神経疾患、精神疾患、不整脈、心疾患などが起こりやすくなる。

 マグネシウムは穀物の糠や胚芽の部分、ホウレンソウやケールなどの野菜、アーモンドなどのナッツ類、ゴマ、昆布やワカメなどの海藻、海苔、ヒジキ、イワシなどの魚、アサリやハマグリなどの貝類、カキやエビなどに豊富に含まれている。白米や精製された小麦粉を主体とする食生活では不足しがちになる。

 一方、カルシウムの摂取によく利用される牛乳などの乳製品にはあまり含まれていないので、マグネシウムの含まれる食品をバランス良く摂取する必要がある。

 マグネシウムを十分に摂っていると高血圧を改善できることが、インディアナ大学公衆衛生学部の研究で明らかになった。研究チームは、マグネシウムの摂取に関する2,028人を対象とした臨床試験34件のデータを統合した。被験者のマグネシウムの1日の摂取量は240~960mgで、ほとんどの場合で米国の食事ガイドラインの推奨量を満たすかそれ以上だった。

 データを解析した結果、マグネシウム摂取量が多い人は血圧が低下していることが判明した。1日368mgのマグネシウムを3ヵ月摂取すると、全体で収縮期血圧が2mm/Hg、拡張期血圧が1.78mm/Hg低下した。また、マグネシウム値が高いほど血圧降下に関連するもうひとつの因子である血流量が良好であることが分かった。

 「米国心臓学会(AHA)は、高血圧を予防・改善するために、バランスの良い食事を推奨している。栄養バランスの良い食事を摂っていれば、1日368mgのマグネシウムを十分に満たすことができる」と、インディアナ大学公衆衛生学部のリチャード フェアバンクス氏は述べている。

 大事なのは、マグネシウムをサプリメントなどで摂取するよりも、毎日の食事で体にとり入れることだという。

マグネシウムは体内時計の調整にも役立つ
 マグネシウムが体内時計の調整にも役立っているという研究を、英国のエジンバラ大学が発表した。マグネシウムは、概日リズムを環境の昼夜サイクルに適合させることを助けているという。

 夜なかなか眠くならず、朝起きられないという人は、生活リズムが乱れているおそれがある。生活リズムは、細胞内にある1日の活動や休息のリズムをつくる「体内時計」によって調整されている。

 体内時計は体の睡眠と覚醒、ホルモン放出、体温調節などさまざまな機能に影響を与えている。夜型の生活をおくっていると体内時計が乱れて不眠が生じやすくなるが、生活リズムが乱れやすいと悩んでいる人は、マグネシウムを含む食品を意識して食べるとよさそうだ。

 研究チームは、ヒト培養細胞、藻類、菌類を用いて実験を行い、どの場合に細胞中のマグネシウム濃度が日内サイクルに合せて変化するかを調べた。その結果、マグネシウムが細胞の24時間周期の体内時計に必須であるだけでなく、細胞の代謝にも大きな影響を与えていることを発見した。

 細胞内のマグネシウムは、エネルギー燃焼能力にも影響していることも分かった。マグネシウムは食物をエネルギーに変換するのに必須の栄養素で、この生物学的な機能を効果的にコントロールする役割も担っているという。

 「体内時計は、健康や生活習慣病の発症などにさまざまなに影響する人間の生命活動の根本的な要素だ。マグネシウムを含む栄養バランスの良い食事が、生活のあらゆる局面に影響を及ぼすことが明らかになった」とエジンバラ大学のガーベン ヴァン オージェン氏は述べている。

Magnesium may modestly lower blood pressure(米国心臓病学会 2016年7月11日)
Effects of Magnesium Supplementation on Blood Pressure(Hypertension 2016年7月11日)
Key role for magnesium in circadian rhythms(エジンバラ大学 2016年4月14日)
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