ブロッコリーがうつ予防に効果 「スルフォラファン」がうつリスクを低減
2016年8月24日 17:23
 ブロッコリーなどの野菜に含まれる化合物「スルフォラファン」に、うつ病の発症抑制の効果があることを、千葉大学の研究チームが突き止めた。
ブロッコリーの「スルフォラファン」の抗酸化作用
 千葉大学社会精神保健教育研究センターは、ブロッコリーなどの野菜に含まれる「スルフォラファン」が、うつ病の予防や再発防止に効果があることを解明した。

 研究は、千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二教授(神経科学)、同大学院医学薬学府の姚偉氏らによるもの。

 スルフォラファンとは、フィトケミカルの一種で、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれている。ピリッとする辛みのもととなる成分で、抗酸化作用や解毒作用があり、がんなどのさまざまな疾病の予防効果が報告されている。

 ブロッコリーを発芽させた新芽であるブロッコリースプラウトには、高濃度のスルフォラファン(スルフォラファンの前駆体であるグルコラファニン)が含まれる。ブロッコリースプラウトは、食品としてスーパーなどで市販されている。
スルフォラファンで「社会的敗北ストレス」を軽減
 日本では100人に3~7人がうつ病を発症している。世界保健機構(WHO)の報告では、世界中で3.5億人がうつ病を発症し、年間80万人が自殺している。

 うつ病の薬物療法として、抗うつ薬などが使用されているが、既存の抗うつ薬が効かない治療抵抗性の患者もいる。ストレスなどの要因がうつ病の発症に関わっていることが知られているが、うつ病発症の詳細なメカニズムには不明の点も多い。

 研究チームは、東北大学の山本雅之教授や食品メーカー「カゴメ」の協力を得てマウスによる実験を重ねた。

 研究チームは、大きさの違う2種類のマウスを同じケージに入れ毎日10分間、攻撃的な大型マウスに小型マウスをいじめさせ、残りの時間は2匹のマウスを仕切り板で分けて生活させた。

 この作業を10日間繰り返したところ、人間と似たような「社会的敗北ストレス」が発生し、うつ状態になった。マウスの多くが社会的回避や快楽喪失反応(アンヘドニア)などのうつ症状を示した。

 しかし、スルフォラファンの前駆体である「グルコラファニン」を含む餌を3週間与えると、社会的敗北ストレスにより引き起こされるうつ症状の発症を予防できる可能性(ストレスレジリエンス)が示された。
栄養学的にうつ病を予防・改善
 スルフォラファンは、抗酸化作用をもつ遺伝子の転写因子「Nrf2」を活性化し、脳の血管を保護すると考えられている。

 脳内の「Nrf2」が低下すると炎症やストレスがあらわれ、うつ症状が起こると推測されている。

 東北大学の研究では、「Nrf2」は炎症を悪化させるサイトカインである「IL-6」や「IL-1β」の遺伝子の発現を阻害することで、炎症を抑えられることが分かった。

 今回の実験により、薬品などに頼らず栄養学的にうつ病を予防・改善できる可能性が高まったという。

 「スルフォラファンは、ブロッコリースプラウトなどの緑葉色野菜に多く含まれる安全な化合物。栄養学的観点から、食事として摂取することにより、うつ病の予防やうつ病患者の再発予防として有用と考えられる」と、橋本教授は述べている。

 「精神疾患で苦しんでいる患者は多いが、野菜や魚を取り入れた栄養バランスよい食事を心掛けることで、うつ病を改善できる可能性がある」と指摘している。

千葉大学社会精神保健教育研究センター
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