高齢者の所得格差と長生きの栄養指標・血清アルビミン値の関連が明らかに
2016年9月 7日 14:44
 世帯の所得など社会経済状況が寿命や健康状態に影響を及ぼしている―?
新潟県立大学の太田亜里美准教授らはこのほど、長生きの栄養指標とされる血清アルビミン値が世帯所得に関連していることを、高齢者を対象にしたアンケートや健診データから明らかにした。高齢者の血清アルビミンと社会経済状況の関連を示したのは、この研究が初めて。

 血清アルビミンは血液中のたんぱく質の一種で、血しょうに含まれるたんぱく質の約6割を占める。血清アルビミン値は高齢者の栄養管理状態を評価する際、低栄養になっていないかを判断する指標になるのをはじめ、がんや肝障害などの病気、炎症などとも関連することから「長生きの栄養指標」とも呼ばれている。

 これまでも高齢者の健康と所得など社会的経済状況の関連については指摘されていたが、血清アルビミン値と社会的経済状況との関連は明確になっていなかった。そこで、太田准教授らは2010年に実施された日本老年学的評価研究のうち、愛知県の4市町村で要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者6,528人を対象にアンケートを実施。1年以内に行った健診データとアンケート結果を結合させ、分析を行った。

 その結果、平均所得群と低所得群を比較すると、統計学的に明らかに低所得群の方が低い血清アルビミン値を示すことが判明。性別や年齢、教育、婚姻状況、家族構成、地域などといったほかの要因を取り除いても、この差異は残った。そのため、高齢者の血清アルビミン値は、世帯所得などの社会経済状況が関連していることが明確になった。このような研究結果が出るのは初めて。

 さらに検討した結果、「(1)低所得である⇒肉・魚の摂取頻度が少ない⇒アルブミン値が低い」、「(2)低所得である⇒呼吸器疾患などの病気がある⇒アルブミン値が低い」という2つの流れを解明できたという。

 太田准教授らは今後、低所得と呼吸器系の病気の増加についての関連を調べるなどして、高齢者の禁煙にも意味があることを伝えたい、などとしている。また、肉や魚の摂取が血清アルビミン値の維持につながり、健康寿命を促進させることを広く高齢者に知ってもらいたい、という。そのうえで低所得層が食料品を無理なく入手できるよう、食料品の減税や食料品券の提供など金銭的なサポートも重要であると締めくくっている。

高齢者の所得 長生きの栄養指標(血清アルブミン値)と関連

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら