家を改修すると血圧が下がる 断熱化すると室温が上がり血圧が低下
2017.01.19
 住宅を改修して断熱化して、冬季の室温が上がると、それに伴って居住者の血圧が下がる傾向にあることが、国土交通省が実施した調査で明らかになった。
 高齢者ほどこの傾向は強くなり、断熱改修が省エネに役立つだけでなく、健康にも良い影響を及ぼすことが示された。
住宅を断熱化すると血圧が低下
 国土交通省は、住宅の壁や窓を断熱化して室温を上げると血圧が低下する傾向がみられるとの調査結果を発表した。高齢者を中心に、冬の起床時に室温が低いほど血圧が高くなることも判明した。

 血圧の上昇は心筋梗塞や脳卒中などの死亡率の高い疾患のリスクになる。健康日本21では、収縮期血圧を4mmHg低下すると、循環器疾患死亡者数が1万5,000人減少すると推計している。

 同省は、「高齢者ほど室温低下による血圧の上昇が大きくなるため、室温が低くならないように注意することが大切だ。窓ガラスを複層ガラスに取り換えたり、壁に断熱材を入れたりするなど、住宅リフォームを推進すると効果的」と呼びかけている。
住宅の断熱化と健康への影響に関する調査
 調査は、住宅の断熱性能と居住者の健康との関連を探ることを目的に、2014年度から4年間の予定で実施。

 冬の2週間、2,759人(平均年齢57歳)を対象に、住宅の室温や居住者の血圧を連日測定した。

 その結果、起床時の室温が低いほど血圧が高くなる傾向が認められた。また、高齢者ほど室温低下による血圧の上昇が大きくなった。

 高齢者は寒さによる刺激の影響を受けやすく、血管の収縮による血圧上昇をまねきやすい。断熱による刺激が小さくなり、血圧が低くなったとみられる。

 また、冬の起床時の室温と血圧の関係を1,753人分のサンプルを用いて調べたところ、室温がふだんより10度低くなると最高血圧が7.3mmHg高くなることが分かった。

 年齢が10歳上がると血圧の上昇幅は8.8mmHgとより大きくなり、高齢者ほど住宅の室温低下に注意が必要であることが明らかになった。

 さらに、165人を対象に断熱改修前後の室温と血圧の変化を調べたところ、断熱化で室温が平均2.7度上昇したのに対し、最高血圧は同1.0mmHg低下。室温が上がるほど血圧は下がる傾向がみられた。
1970年代の集合住宅は断熱性や気密性が低い
 東京都健康長寿医療センター研究所よると、1970年代に建てられた集合住宅の窓や壁を断熱性や気密性の高い状態に改修すると、冬場の床の温度は3度程度高くなる。

 国土交通省の2012年の推計によると、全国の住宅約5,000万戸のうち、断熱性能などを定めた国の基準を満たすのは6%たらずだという。

 欧州のフィンランドなどの寒冷な国では、断熱性能が良い省エネ住宅の普及が進み、冬季室温が低い住宅が多い。その結果、冬季の死亡増加率は10%に抑えられているという。

 日本でも欧州と同じ傾向がみられ、省エネ住宅が普及している北海道では冬季死亡増加率が少なくなっている。

 調査は、東京都健康長寿医療センター研究所などの研究チームによるもの。スマートウェルネス住宅等推進事業で、助成を受けて断熱化工事を実施した住宅を対象に、冬期2週間の家族の血圧、居間・寝室・脱衣所の温湿度、身体活動量の調査やアンケートなどを実施した。

住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告(国土交通省 2017年1月13日)
冬場の住居内の温度管理と健康について(東京都健康長寿医療センター 2013年12月2日)
(mhlab)  
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