災害時の心のケアをする専門家チーム「DMORT」 被災者の悲嘆に対応
2017.07.14
 大規模災害時に遺族の心のケアをする専門家チーム「DMORT」(ディモート)の訓練マニュアルを、日本集団災害医学会が作成した。
災害被害者の心のケアが必要
 「DMORT」は「Disaster Mortuary Operational Response Team」の略語で「災害死亡者家族支援チーム」と訳されている。

 災害を想定したシナリオにもとづいて医師や看護師、遺族の役を演じながらケアの方法を学ぶ内容だ。チームは「自治体や病院などで、遺族への連絡と心のケアの訓練で活用してほしい」としている。

 DMORTは、医師や看護師などで構成。犠牲者と対面する遺族らに付き添い、悲嘆を和らげる。災害現場では発災早期より家族(遺族)への組織的支援が必要となる。

 多数の死傷者が生じる災害(大事故)における遺族・遺体に関わるさまざまな問題についての検討が必要なり、2006年に「日本DMORT研究会」が発足した。

 2005年のJR福知山線脱線事故では、現場でトリアージが行なわれ、黒タッグをつけられた犠牲者(黒タッグ患者)は現場で死亡確認され病院に搬送されず、それが病院の混乱を回避したと報告されている。

 しかし、この黒タッグ患者の扱いについて、あるいは遺族の心のケアや遺体に接する救援者のメンタルヘルスなどにおいては、さまざまな課題が残された。
災害直後から家族支援を始めることは重要
 同研究会が作成したマニュアルでは、親しい人を失った時に起きる悲嘆の反応や心理、ケアのポイントなどを紹介。

 災害直後から災害死亡者の家族支援を始めることはもっとも重要な活動だ。災害直後にケアを受ける機会のない家族は長く心の問題を残すことになるという。

 訓練は、実際の災害を想定したシナリオに基づき、参加者が「DMORT役」と「遺族役」を演じる。DMORT役は、遺族役のさまざまな反応に合わせてケアを進める。

 急性期の遺族によくみられる心理状態としては、親しい人や大切なものを喪失した時におこるさまざまな心理的・身体的・社会的な反応である「悲嘆反応」がある。

 悲嘆反応には、(1)呆然自失、ショック、(2)感覚鈍磨、(3)怒り、(4)罪悪感と自責感、(5)不安感、(6)孤独感、(7)無力感、(8)思慕、(9)混乱や幻覚などがある。マニュアルではそれぞれの対応の仕方を解説している。

 災害急性期のグリーフケアのポイントとしては、(1)悲嘆の反応は個人差がある、(2)遺族の「語り」(ナラティブ)の尊重、(3)抑圧された悲嘆にはふみこまない、(4)そっと「寄り添うこと」、(5)相手のニーズに合わせる、(6)スピリチュアルな苦痛を理解する、(7)ケアする側(ケアギバー)の限界を知る――とったことが必要だという。
「気持ち分かります」「頑張って」...遺族を傷つける可能性のある言葉
 遺族を傷つける可能性のある言葉としては、「気持ちはわかりますよ」は、遺族の簡単にわかってほしくないという心理を引き出すおそれがある。決して「禁句」ではないが、言葉を発する際に気をつける必要がある。「黙ってうなずくくらいの方がいいこともある」と解説している。

 「楽になったんですよ」(単なる気休めに聞こえる)、「これからがんばってください」(遺族は既に十分にがんばっている)、「そのうち楽になりますよ」(その場限りの気休めに聞こえる)、「泣いた方がいいですよ」(泣けない場合もある)、「あなたが生きていてよかった」(自身を責めている場合にはそれを増長する)といった言葉にも注意が必要だ。

 マニュアルは、同学会のホームページで公開されている。

日本集団災害医学会
  DMORT 訓練マニュアル(日本集団災害医学会DMORT検討委員会編)
(mhlab)  
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