がんサバイバーたちの「生きる力」を表現 がんと生きる、わたしの物語
2017年7月27日 11:31
 第7回「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」の受賞者が発表された。このコンテストは、がんになっても自分らしく生きられる社会を実現することを目指し、日本イーライリリーが2010年に創設した。がんと診断された人やその家族、友人を対象に、絵画や写真、絵手紙を募集している。
がん患者やその家族、友人を対象としたコンテスト
 がんを発症した後も人生は続く。医療の進歩により、がん生存率は年々向上している。

 患者が日常生活の中で直面するさまざまな問題は、がんの診断と治療によって影響を受ける。人間関係、健康づくり、リハビリテーション、就学就労、経済的問題、ライフコースに関わる問題(恋愛・結婚、妊娠・出産・育児・介護)、生きる意味も含めた問題など、がん診断後の人生に関わるテーマはさまざまだ。

 「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる、わたしの物語。」は、がんと診断された患者やその家族、友人を対象とした絵画・写真・絵手紙コンテスト。

 「がんとともに生きる」をテーマに、絵、写真、もしくは絵手紙とその想いをエッセイに表現している。

 第7回となる今年は、絵画、写真部門のほかに絵手紙部門が新たに加わり、応募総数95点の中から、最優秀賞、優秀賞、オンライン投票によって一般で選ばれた一般投票賞が選ばれ、授賞式が行われた。
がん発病後にも充実した社会生活を
 がん発病後にも充実した社会生活を実現するには、医療者だけでなく、さまざまな立場や職種の人々の関与が必要となる。このコンテストはがん患者の思いを知るための貴重な情報源となる。

 受賞作品は、全国の100ヵ所以上の医療機関や疾患啓発イベントなどで展示される予定だ。

 それぞれの部門の最優秀賞、優秀賞、一般投票賞の作品とエッセイ(一部抜粋)を紹介する。

絵画部門[最優秀賞]
「美しく生きる」
 梅田美智子さん

 主人が亡くなって二人の娘と力を合わせて生きていこうと決心した矢先、今度は私に腫瘍が見つかったのです。すぐに手術しましたが、結果は悪性で、転移を繰り返す厄介なものでした。死の恐怖、手術の苦しさ、抗がん剤の辛さなどを考えると、絶望の淵に立っているようで辛くなる時があります。でも、人はいつかはこの世に別れを告げるのです。だとしたらこの鳥のように美しく生きて行こう。凛として静かにそしてたくましく。そんな思いをこの真白い孔雀や花々に込めて描きました。

写真部門[最優秀賞]
「その先に」
 砂原涼志さん

 19歳のとき健康診断で影が見えると言われました。検査を受け、血液の癌と告知されました。もう私に未来はないんだ、結婚はできないな、死ぬのかな、と思っていました。完治して職場の先輩と付き合うようになりました。病気のことも伝えましたが「関係ない」とプロポーズも受け入れてくれました。今後何があろうとも必死に生き、彼女を追いかけ一緒に歩いていきたいと思います。あの時頑張ったから今がある、この先の未来があるんだと思います。

絵手紙部門[最優秀賞 一般投票賞]
「ウインクしている わたしのおっぱい」
 塩田陽子さん

 私の左のおっぱいは先に神様のもとへ行きました。手術から4年たちましたが、今でもちゃんと胸を見ることはできません。でも私のおっぱいはウインクしているんだ!と思うと、愛嬌があって愛しく思えてくるのです。神様のもとで私を待っていてくれるおっぱいに、いろんな体験やチャレンジを聞かせてあげたい。「あなたがいなくても、私は生き抜いたよ」と報告したい。私がおっぱいと再会するときは、必ず笑顔でありたいと思っています。

絵画部門[優秀賞 一般投票賞]
「One day」
 蔵野由紀子さん

 舌癌、頚部リンパ節へ転移の疑いのあるステージ4と診断されたのは35歳のときのことであった。幼子二人を抱えて目の前は真っ暗になった。術後はまた辛い日々であった。そんなとき弟がくれた紙と鉛筆で絵を描き始めたら、急に頭が冴えてきた。花の命は短い。この絵の薔薇も既に枯れてしまってもうこの世には存在しない。しかし、それが不幸なこととは思わない。心明るく上を向いて、今にも咲こうとするこの蕾のような瑞々しさで生を全うしたいと願い、この絵を描いた。

写真部門[優秀賞]
「優しいまなざし」
 森井邦生さん

 数年前から肺気腫で治療中でした。検査で肺ガンの疑いと診断され切除。想像を絶する息苦しさでも、退院後は毎日カメラを持って歩き回りました。そんなある日、出あったのがこの鹿です。慈愛に満ちた気品ある優しいまなざしに息を飲み、思わずシャッターを切りました。以来この写真を持ち歩いて朝な夕なに眺め、大いに癒されました。副作用の中にあっても、この鹿がいつも優しく見つめていてくれました。

絵手紙部門[優秀賞]
「歩く」
 津田恭子さん

 「もう新しい靴はいらんから」母が大腸がんと診断され、即刻、腹腔鏡手術を勧められた。そのショックや恐怖感は相当なものだったろう。お洒落大好きな母の目を引いた、店頭のパステルカラーのパンプスも、母の購買欲をそそらなかった。「もう靴を履いて歩くことはないし」とつぶやいた。術後5年目に入る母は、自分の身体と真摯に向かい合っている。希望を持って、明るく生きているのだ。「新しい靴を買いに行こうかな」と私に向かって笑いかける母に、笑顔で大きく頷いた。

写真部門[一般投票賞]
「母に見せたい景色」
 須賀研介さん

 北海道の大学に進学した私がホームシックになった時、母が買ってくれたのが、カメラとの出会いでした。その年の暮れに母の乳癌が見つかりました。母は「研介の撮る景色をこの目で見たいから、元気になって北海道に行く」と言いました。私は、母の力になっていると思いたくて撮影に没頭しました。元気に回復し、今でも私の写真が生きる力になると話す母。私は今もこの1枚が誰かの力になればいいと願いながらシャッターを切っている。

リリー・オンコロジー・オン・キャンバス「がんと生きる、わたしの物語。」絵画×写真×絵手紙コンテスト
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