「ポケモンGO」は働く人のメンタルヘルスに有効 初の科学的な検証
2017年9月14日 18:01
 スマートフォン用ゲームアプリ「ポケモンGO」が労働者の心の健康の保持と増進に有効である可能性があるというという研究を、東京大学の研究グループが発表した。1ヵ月以上継続してプレイした労働者は、心理的ストレス反応が減少したという。
屋外で歩かなければプレイできないゲーム
 スマホゲーム「ポケモンGO」を1ヵ月以上続けてプレイした労働者は心理的ストレス反応が減少したという調査結果を、東京大学医学系研究科精神保健学分野の研究グループがまとめた。

 「ポケモンGO」は、2016年7月に配信が開始されて以来、8週間で世界累計5億ダウンロードを記録するなど、爆発的に広まったスマートフォン用ゲームアプリ。

 地理情報と拡張現実の技術を利用することで、プレイヤーがあたかも現実世界でポケモンを捕まえ、育てられるかのような体験でできるゲームだ。「ポケモンのタマゴ」を孵すために一定の距離を歩かなければならないなど、外出して動かなければプレイできないような仕組みになっている。

 拡張現実を活用した新しいスマホゲームアプリ「ポケモンGO」が及ぼす影響は、その新規性からさまざまな方面で論じられてきた。しかし、そのほとんどは事例証拠や専門家の意見によるものにとどまっていた。

プレイヤーの心理的ストレス反応が減少
 研究グループは、日本に在住している正社員・正職員の労働者2,530人を対象に、2015年11月から追跡して調査。2016年12月にインターネットを用いて、「ポケモンGO」を1ヵ月以上継続してプレイしたことがあるか、および心理的ストレス反応の程度について調査した。

 「心理的ストレス反応」は、気分の落ち込み、不安、疲労感など、負荷がかかった際に生じる心の反応を示している。

 その結果、「ポケモンGO」を1ヵ月以上継続してプレイした労働者(9.7%)は、そうでない労働者(90.3%)に比べ、1年後の心理的ストレス反応が有意に減少していた。

 一方、「ポケモンGO」をプレイしなかった労働者の心理的ストレス反応はほぼ横ばいだった。性別、年齢、喫煙習慣、飲酒習慣、および仕事のストレス要因の影響などを調整した上で比べて、統計的に明確な差があったという。
労働者のメンタルヘルス改善に大きなインパクト
 今回の研究は、「ポケモンGO」がメンタルヘルスの改善に及ぼす効果を示した世界ではじめてのものだ。

 心理的ストレス反応の効果は大きいものではなかったが、「ポケモンGO」がゲームとして広く普及していることを考えると、労働者の心の健康の保持・増進に大きなインパクトをもつ可能性がある。

 「さまざまな世代や特徴をもった人々に広くプレイされる"ポケモンGO"は、労働者のメンタルヘルス改善に大きなインパクトをもたらす可能性がある」と研究者は指摘している。

 ゲーム性を備えたコンテンツによるメンタルヘルス改善のための介入は、従来の介入方法と比較して、メンタルヘルスの問題に興味のない人々や、メンタルヘルスの問題を抱えていながら通常のケアにアクセスできないような人々にも有効である可能性があるという。

 研究は、東京大学医学系研究科精神保健学分野の渡辺和広大学院生、川上憲人教授らによるもので、英科学誌「サイエンティフィック リポーツ」に発表された。

東京大学医学系研究科精神保健学分野
Pokémon GO and psychological distress, physical complaints, and work performance among adult workers: a retrospective cohort study(Scientific Reports 2017年9月7日)
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