加熱式たばこも血管には有害 血管内皮機能が低下 「iQOS」で実験
2017.12.21
 加熱式たばこ製品の「iQOS」(アイコス)は血管に悪影響を与えるという調査結果を、米国のカリフォルニア大学が発表した。iQOSの蒸気に曝露したラットの血管内皮機能は、一般的な紙巻きたばこの煙に曝露したラットと同程度に低下したという。この研究結果は米国心臓学会(AHA)のサイエンスセッションで発表された。
加熱式たばこでも血管内皮機能が低下
 加熱式たばこは、たばこの葉を燃やさず加熱して生じた蒸気を吸って楽しむ製品。このうち大手たばこ企業のフィリップモリス社が製造する「iQOS」は、日本、カナダ、ロシアなどで販売されており、米国でも米食品医薬品局(FDA)に対し承認が申請されている。

 通常の紙巻きたばこはたばこ葉を600度で燃やすが、iQOSでは350度で加熱するため、ニコチンが含まれた蒸気は生じるが煙は出ない。同社は「通常の紙巻きたばこの煙に比べ、iQOSが出す蒸気は、9種類の有害成分の量を約90%カットしている」と主張している。

 これに対し、カリフォルニア大学のマシュー スプリンガー教授(循環器内科学)は、「たばこ企業では、加熱式たばこ製品が通常の紙巻きよりも健康への害が少ないと主張していますが、こうしたデバイスの健康への影響は十分に検証されていません」と言う。

 スプリンガー教授らは実験ラットに、(1)iQOSを加熱した蒸気、(2)紙巻きたばこの煙、(3)清浄な空気――のいずれかを曝露させた上で、血流依存性血管拡張反応(FMD)測定により評価した。FMD測定は、非侵襲的に「血管内皮機能」を測定する方法。血管の柔らかさを数値化することで、早い段階で動脈硬化の傾向が分かる。

 その結果、曝露は1回15秒間として5分間に5回行った場合、血管内皮機能はiQOS群で58%、紙巻きたばこ群では57%低下した。曝露を1回5秒間として5分間に10回行った場合、血管内皮機能はiQOS群で60%、紙巻きたばこ群では62%低下した。iQOSの蒸気への曝露は、紙巻きたばこに曝露した場合と同程度の、血管内皮機能の低下をもたらすことが示された。

吸い続ければ健康に悪影響をもたらす可能性
 「たばこの葉の燃焼が起きていない場合でも、血管内皮機能の低下の原因となる化学物質がiQOSから放出されている可能性があります。血管の機能が低下すると、心臓や他の臓器に、必要な血液が十分に行き届かくなり、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中などの危険性を高めます」と、スプリンガー教授は言う。

 循環器系におけるたばこの煙への反応の仕方はヒトとラットでよく似ているため、この研究結果はヒトにも当てはまる可能性があるという。血管の状態を悪化させる物質の特定はされていないが、最大の問題はニコチンではないかと推定している。

 「たばこの害に関する研究は、経済的な利害関係から独立し適切に行われるべきで、科学的な事実による裏付けが必要です。たとえiQOSが普通の紙巻きたばこに比べ害が少ないとしても、吸い続ければ健康に悪影響をもたらす可能性があることに注意を向けるべきです」と、スプリンガー教授は述べている。

 この研究は米国立衛生研究所(NIH)とFDAによる資金提供を受けて実施された。学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

Heat-not-burn cigarettes may still harm the heart, as FDA mulls approval(米国心臓学会 2017年12月7日)
PMI's IQOS heat-not-burn tobacco products just as bad as cigarettes in terms of adverse effects on blood vessel function(カリフォルニア大学たばこコントロールセンター 2017年11月14日)
(mhlab)  
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