夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差
2018年4月26日 09:38
 急性心筋梗塞の発症と時刻における日照時間は関連しており、夏は夜間に急性心筋梗塞の発症数がその他の季節と比べて増加することが、京都府立医科大学などが世界7ヵ国と共同で行った調査で明らかになった。
夏の夜間に急増する急性心筋梗塞 日照時間が関与
 「ST上昇型急性心筋梗塞」(STEMI)は、動脈硬化で狭窄した冠動脈が血栓によって閉塞することによって生じる。STEMIは世界の主要死因のひとつとなっている。

 急性心筋梗塞は、発症数が日中に多く、冬に増加し夏に減少するという季節変動パターンがあることから、概日リズムと影響していると考えられている。

 季節により急性心筋梗塞の発症数に増減があるのは、環境や天候などの要因が発症機序に関与しているからだという報告があるものの、季節により変化する概日リズムがどのように影響するかはよく分かっていない。

 そこで、京都府立医科大学などの国際共同研究グループは、地球の南北両半球の合計7ヵ国(日本、イタリア、英国、フィンランド、中国、シンガポール、オーストラリア)で2004年〜2014年にかけて発症した急性心筋梗塞2,270症例を対象に、発症が概日リズムが夏に変動するかどうかを検証した。

 その結果、急性心筋梗塞の発症時刻と日照時間が密接に関与しており、急性心筋梗塞の発症例は、特に夏は他の季節と比べて日中(6〜18時)に減少し、夜間(18〜6時)にシフトして増加することが判明した。

関連情報
日照時間で発症に差 ビタミンDの合成が影響か
 フィンランドや英国では夏とその他の季節における差がその他の国々と比べて小さく、これは北極に近付くほどサマーシフトが消失するからだと考えられる。

 シンガポールでは、日中と夜間の急性心筋梗塞数の差と環境や天候などの要因との相関について解析したところ、日照時間と強い負の相関を示すことが分かった。

 これらから、天候(雨雲)を考慮に入れた日照時間が急性心筋梗塞の発症時刻に影響を与えるということが明らかになった。

 さらに、日照によるビタミンDの合成量が急性心筋梗塞の発症に関与している可能性が示された。過去の研究では、ビタミンD欠乏症は心筋梗塞の発症リスクを上昇させることが示されている。

 ビタミンDの合成は日照に依存しているため、研究グループはビタミンDと日中と夜間の急性心筋梗塞数の差との相関を調べた。皮膚で作られたビタミンDは肝臓で代謝されて25(OH)Dとなる。

 同じ緯度に位置しているスウェーデンとフィンランドで、25(OH)Dと急性心筋梗塞数を調べたところ、日中と夜間の急性心筋梗塞数の差は負の相関を示した。この結果は、日照時間が長くなりビタミンDの合成が増加すると、日中と夜間の急性心筋梗塞数の差が減少することを意味している。
時間帯に応じた救急医療システムの確立を
 今回の研究で、特に夏は他の季節と比べて、夜間の急性心筋梗塞発症数が増加し、日照によるビタミンDの合成が急性心筋梗塞の発症に関与していることが示された。

 研究グループは、「季節や時間帯に応じた急性心筋梗塞に対応する救急医療システムの確立や、ビタミンDを標的とした心筋梗塞予防薬や診断マーカーの開発につながる」とまとめている。

 この研究は、京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学の西真宏大学氏ら世界7ヵ国による国際共同研究グループが行ったもので、科学雑誌「Journal of the American Heart Association」オンライン版に発表された。
京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学
'Summer shift': a potential effect of sunshine on the time onset of ST-elevation acute myocardial infarction(Journal of the American Heart Association 2018年4月7日)
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