日本生活習慣病予防協会
医薬品開発に向け戦略 内閣府「健康研究推進会議」
2009.08.07
 内閣府の健康研究推進会議は、今後10年で実現する目標をまとめた「健康研究推進戦略」を発表した。

 新しい治療法や医薬品・医療機器を開発するために、関連する厚生労働省、文部科学省、経済産業省などの府省が縦割りで施策で行っていると、効率が悪くなり成果を得にくい。また、研究・臨床研究は巨額な研究費が必要となり、その点でもデメリットが多い。そこで、関係府省が個別に推進する健康に関連した橋渡し研究や臨床研究などを、関連府省を横断してひとつの戦略に基づいた統一的で重点的な取組みとして進めることを目的に、内閣府に「健康研究推進会議」が設置された。

 会議は、厚労、文科、経産の3大臣、内閣府特命担当大臣のほか、総合科学技術会議議員の本庶佑氏で構成される。学識者や産業界の代表が参画するアドバイザリーボードの提言をふまえて戦略を策定した。早急に取り組むべき重点課題として、(1)研究拠点の整備、(2)橋渡し研究・臨床研究に従事する人材の確保・育成、(3)研究を支える領域の強化、(4)研究開発成果の社会還元の推進の4項目を示した。

 医療分野では、医薬品や医療機器の開発で、日本の国際競争力が弱いことが指摘された。日本で開発された医薬品が世界売上ランキング100位内に14品目入っているが、9品目は2011年には米国で特許が満了する。大学、国立高度専門医療センターなど研究・臨床研究の拠点となる施設の臨床研究者やスタッフを充実させ、新たな医薬品を開発するための拠点整備が急がれている。

 今後10年程度で実現する目標は次の通り――

1. 革新的創薬技術等の実用化
 個人の体質に合わせて治療効果を高め副作用を抑えた「テーラーメイド医療」や、体内のさまざまな細胞になる能力のあるiPS細胞を活用した再生医療の実用化を目指す。がん、心臓病、脳卒中、糖尿病では、技術開発により患者の負担を軽減した低侵襲で簡便な診断を行えるようにする。治療効果や副作用を予測し判定するためのバイオマーカーの開発の研究を進める。

2. 革新的医療機器等の実用化
 がんや心臓病、脳卒中など、多くの疾病を予防、早期に診断・治療する手法を開発する。放射線治療・内視鏡手術などの体に優しい低侵襲的手法の開発や、人工臓器・組織の実用化を目指す。

3. 新しい複合治療技術の展開
 薬剤と治療用デバイスの複合体や、再生医療技術を組み込んだハイブリッド人工心臓など、分野を融合した技術を開発する。

4. 健康研究を支える領域の強化
 研究推進のために、健康研究(橋渡し研究・臨床研究)だけでなく、それら研究を支える領域の強化も重要。新しい医薬品や医療機器などをつくりだすために、材料・原理・技術といった新しいシーズ(種)の開発に常に取り組み、疫学研究とゲノム情報を融合した研究や、臨床疫学や薬剤疫学の研究を推進する。社会や規制の枠組みの中で、人間との関係を重視しながら科学の研究・開発を進めるレギュラトリーサイエンスも重視し、医薬品や医療機器の安全性や有効性を評価する方法の開発も推進する。

健康研究推進会議(科学技術政策/内閣府)

(TERA)  
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