日本生活習慣病予防協会
タバコを吸う50代の69%、60歳以上の97%が「COPD」の疑い
2009.08.18
 10年以上喫煙歴がある50代の69%、60歳以上の97%は、呼吸器に深刻な障害が起こる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の疑いがあり、喫煙者の6割超がニコチン依存症で、うち17%はうつ病・うつ状態の疑いがあるというショッキングな調査結果が発表された。
 専門家は「1日も早く禁煙し、息切れや慢性のせきなどCOPDの症状がある人は早めに専門医を受診してほしい」と注意を呼びかけている。

 このアンケート調査は、ファイザーが8月1日の「肺の日」を前に喫煙が身体に及ぼす影響について調べたもの。40歳から90歳の男女600人を対象にインターネットで実施した。
喫煙による健康被害よりも「タバコ代」の方が気になる
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、有害な空気を吸い込むことで気道(気管支)や肺(肺胞)などに障害が生じる病気で、喫煙が要因となり発症する。症状が進行すると徐々に呼吸機能が低下し、息切れから日常生活に支障をきたし、酸素吸入や死に至ることもある。入院が必要となったCOPD患者では1年後の生存率は約6割というので、きわめて深刻な病気だ。

 調査では総ポイント数によりCOPDの可能性の目安を知ることができる「COPD質問票」を用いてCOPDの罹病率を推定した。その結果、回答者のうちCOPDの疑いがあるのは40代の20%、50代の69%、60歳以上の97%で、年齢とともに割合が高くなった。

 喫煙はCOPDをはじめ、さまざまな疾患の要因となり、そのリスクは加齢にともない高くなるが、喫煙習慣のある人は十分に認識していない傾向があることが示された。COPDの疑いがある人にCOPDの認知についてとたずねたところ、「知っている」と回答した人は33%と少なく、特に50代男性ではわずか18%だった。

 禁煙の意欲についてたずねたところ、「今すぐ禁煙したい」と回答した人は15%で、COPDが多い60歳以上でも18%に留まった。喫煙の影響として気になることとしては、「タバコ代」を挙げる人の割合が高く、多くの年齢層で「自分の健康被害」を上回った。COPDの疑いがある40代、50代でも「タバコ代が気になる」(86%)は、「自分の健康被害が気になる」(82%)を上回り、喫煙習慣のある人では健康への関心が薄いことが示された。

ニコチン依存症では「うつ病・うつ状態」が多い
 ニコチン依存症のスクリーニング(ふるい分け)を行う「ニコチン依存症を判定するテスト(TDS)」用いてニコチン依存症の割合を求めたところ、COPDの疑いがある人のうち68%が該当することがわかった。

 COPDやニコチン依存症など、なんらかの依存症に陥る人は精神的な問題を抱えていることが多いと予測し、調査ではうつ病やうつ状態の可能性についても調べた。うつ病性障害を認識し評価するための診断ツール「こころとからだの質問票」を用いたところ、ニコチン依存症の人のうち、17%にうつ病・うつ状態の疑いがあり、ニコチン依存症ではない人の6%を大きく上回った。

 調査結果について、石井芳樹・獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科教授は「COPDの疑いがある人の間で疾患の認知度が約3割と低いのみならず、今すぐ禁煙を考えている人もわずか15%と、大変ショッキングな結果でした。今後私たちは、一般の人たちを対象にCOPDの危険性を普及していくだけではなく、最善の解決策である禁煙の必要性をよりいっそう積極的に訴えていかなければならないことを再確認しました」と述べている。

 「喫煙は、肺がんやCOPDという肺の疾患だけでなく、ニコチン依存症、さらにはうつ病・うつ状態と、身体にさまざまな悪影響を及ぼします。したがって、1日も早く、禁煙することが重要です。長年の喫煙習慣を断ち切ることは容易ではありませんので、医師に相談することも一つの方法です」。

 世界には6億人がCOPDに罹患しており、2020年までに世界の死亡原因の第3位になるという予測がある。日本でも500万人以上がCOPDと推計されているが、実際に治療を受けているのは約22万人に過ぎない。石井教授は「息切れや、しつこく続く慢性のせき、たんなどCOPDの症状がある人は、早めに専門医を受診してほしい」としている。

ファイザー(株)
  「お医者さんと禁煙」をサポートする すぐ禁煙.jp

この記事はファイザー(株)が7月27日付で発表したリリースをもとにしています。

40歳以上で咳が長引いても‘COPD’を疑う人は15%(日本生活習慣病予防協会)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を啓発するネット映画(日本生活習慣病予防協会)

(TERA)  
  最新ニュース

Copyright ©2007-2010 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
この記事は治療のための医療情報ではありません。治療や療養について
詳しくはかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。