日本生活習慣病予防協会
体内時計を遅らす化合物発見 睡眠障害などの治療に光明?
2009.09.03
 通常は24時間周期で繰り返される「体内時計」を、特定の化学物質を投与して倍の48時間以上に延長することに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの上田泰己チームリーダーらの研究グループが成功した。高齢者に多い加齢性の睡眠障害や時差ぼけなど、体内時計の変調が原因となる病気を改善する薬剤の開発につながると期待されている。

 ヒトを含む多くの生物の体は、時刻によって変化する太陽光や温度などの環境に適応するため「概日リズム」を備えている。これは体内に24時間周期で機能する「概日時計」があるからで、ほ乳類では概日時計の中枢は、脳視床下部の視交叉上核にあると考えられている。睡眠や覚醒、血圧、体温調節、ホルモン分泌などは概日時計によりコントロールされており、睡眠障害や季節性うつ病の発症にも深く関わっている。

 研究グループは、概日リズムを示すマウスとヒトから採った細胞に化合物を加え、発光酵素(ルシフェラーゼ)を使い周期変化の観察や発光量の測定を1週間続けた。1260種類の化合物を調べた結果、28種類が概日時計を制御しており、そのうち9種類が時計遺伝子と深く関わるリン酸化酵素の働きを妨げることをつきとめた。化合物により概日時計の周期を大きく延ばすことが判明し、周期を最大で2倍の48時間にするのに成功した。温度を10度変化させても安定して周期を保つことも確かめた。

 概日時計の周期決定などはこれまで、複雑な分子ネットワークで構成されると考えられていだが、今回の研究で少数の分子で構成される反応の特性により決められている可能性があることが示された。研究者らは「従来のほ乳類概日時計の分子モデルの修正を促す画期的な成果で、概日時計に関連する疾患の治療薬開発に寄与する重要な知見だ」と述べている。研究成果は米国科学アカデミー紀要オンライン版に8月31日に掲載された。

独立行政法人理化学研究所

(TERA)  
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