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2009年08月19日

更年期障害

どんな病気?
思春期に初経を迎えてから、女性のからだは常に妊娠にそなえて子宮の状態を整えています。妊娠に至らなかった場合には月経(生理)が起こり、子宮の状態をもう一度整え直します。このサイクルは、卵巣から分泌される女性ホルモンの働きによって、周期的に繰り返されます。

40歳を超えるころから年とともに卵巣の諸機能は少しずつ低下します。それによって女性ホルモンの分泌が乱れ、月経も不規則になってきます。やがて女性ホルモンの分泌がさらに少なくなると、月経が起きなくなる、つまり「閉経」を迎えます。

「閉経」の平均年齢は約50歳です。そして、閉経を挟んでその前後の約5年、45-55歳ぐらいが「更年期」と呼ばれます。卵巣機能の低下とともに始まるこの約10年間は、女性のからだが成熟期から老年期(高年期)へと移る準備の期間と言えるでしょう。

更年期には、さまざまな不快な症状が現れます。主なものを挙げると、急に顔がほてったり胸が熱くなる、汗がどっと出る、動悸、息切れ、手足のしびれや冷え、頭痛、肩凝り、めまい、眠れない、イライラする、憂うつになる、などです。

なぜこのような不快な症状が起きるのでしょうか。それは、卵巣機能低下で女性ホルモンの分泌量が減っているのにも関わらず、それを今までどおりにもっと分泌させようとして、女性ホルモンの分泌を増やす性腺刺激ホルモンが分泌され、からだの中で種々のホルモンのバランスが急激に変化するためです。その影響は自律神経系にも及び、ますます全身の諸機能の調整が混乱します。さまざまな自覚症状は、体内で起きているそのようなホルモンと自律神経の混乱の現れです。

また、更年期と呼ばれる年齢は、人生で大きな変化が訪れる時期に重なります。例えば、親の介護が必要になる、子どもが自立・結婚し親元を離れる、夫が定年を迎えるといったことです。こうしたライフイベントによるストレスが、更年期の症状をより顕著にする可能性もあります。

数字で見る更年期障害






注)ここでは厚生労働省の『患者調査』から、「閉経期及びその他の閉経周辺期障害」の受療率を紹介します。ただし、更年期障害にはさまざまな症状があり、患者さんの主要な症状から特定の病気と診断されて治療を受けている場合も少なくありません。そのため、いわゆる更年期障害で治療を受けている方の受療率は、この数値よりも高いものと考えられます。

更年期障害の予防と治療
更年期そのものを「予防」することはできません。更年期はすべての女性に訪れます。ただし、更年期に伴うさまざまな症状、いわゆる更年期障害の現れ方は人それぞれです。あまり気にならないまま更年期が過ぎてゆく方もいる一方で、症状が強くて非常な苦痛を感じられる方もいます。

更年期障害の治療では漢方薬がよく使われます。病気の原因である異常箇所を見付けてそれを修復しようとするのが西洋の薬ですが、これに対して漢方薬は、症状から全身の状態を把握して体質的な改善を図る薬です。そのような作用が、更年期障害のような多彩な症状を改善するのに適しているのでしょう。

一方、更年期障害の原因療法としては、ホルモン補充療法が該当します。低下した女性ホルモンの分泌を、注射薬や飲み薬、貼り薬、塗り薬などで体外から補ってあげるわけです。実際、この治療法は非常に効果があります。しかし、治療開始後いつまで続ければ良いのかという点や、乳がんになりやすくなるのではないかといった副作用の心配に対し、まだしっかり答えが得られていない面もあり、あまり普及していません。ただし、産婦人科などで定期的に検査を受けながら続けるのであればもちろん安全ですし、効果の高い治療法です。

そのほか、自覚症状にあわせて対症療法的に薬が処方されます。薬による治療以外にも、趣味やスポーツなど日常生活にアクセントをつけることでも効果が期待できます。からだを使うことで血行が改善しますし、辛い症状で憂うつなときの気分転換にもなります。

なお、更年期障害の諸症状は時間がたてば(更年期を過ぎれば)自然に治ります。更年期障害が命にかかわることはありません。しかし、だからといって辛い症状に耐えてがまんし続ける必要はありません。また、更年期の症状だと思っていたら別の病気によるものだったという可能性もあります。それによって本来の病気の治療機会を逃してしまうようなことを防ぐためにも、気になることがあれば早めに医療機関を受診してください。気がねや遠慮は無用です。

また、これは患者さんの周囲の方にお伝えしたいことですが、更年期障害の諸症状は検査をしても患者さんの訴えに見合うほどの直接的な原因が見付からないことがあります。そのためご家族など身近な人でさえ場合によっては、患者さんの辛さを理解できないことがあります。このような無理解・誤解が患者さんの気持ちを余計に圧迫してしまうケースも出てきます。それは互いに不幸なことですので、ぜひ、更年期に対する理解を深めていただきたいと思います。

さらに詳しく知りたい方は
日本更年期医学会
NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア
NPO法人 メノポーズを考える会

ED(勃起障害)

どんな病気?
「陰茎が全く勃起しないことがED」だと、あなたは思っていませんか? もちろん全く勃起しないのであればED(erectile dysfunction)に違いありません。しかし、勃起はしても、硬さが十分でない、または勃起を維持できない、一度萎えると再度勃起しないといったことのために、性交渉に支障を感じることがあるのなら――それが毎回でなく、たまにでも――EDに該当します。

以前は、年をとればだれでも性機能が低下するのは仕方がないと考えられていました。実際、効果的な治療手段もあまりないのが実情でした。しかし、ご存じのように今では有効な薬があり、多くのケースで治療が可能になってきています。

ところがEDの治療を受けている人は、国内で1千万以上と推測される患者数に比べると、まだ少数です。恐らく、「若くもないのにEDの治療なんて」「受診するのが恥ずかしい」といったためらいが影響しているのではないかと考えられます。

確かに、EDを単に性生活上の問題として考えるのであれば、治療を受けるのも受けないのもご本人の考え方次第、という見方もできなくはありません。しかしEDの治療効果は治療を受けてみて初めてわかるという面が少なくないのも事実です。治療により男性としての自信がよみがえり、人生を積極的に充実させるきっかけになるかもしれません。ご夫婦の幸せという面でも、好ましい結果につながることでしょう。

さらにもう一つ、EDを軽視できない理由として、加齢による血管障害の最も初期に現れる症状の一つがEDである、という事実が挙げられます。このため、心臓や脳などに起こる血管病の危険性を早期に把握するという観点から、EDが近年注目されつつあります。また、メンタル的な病気(例えばうつなど)のためにEDになることがあり、これに気づくことで早めに適切な治療を受けるきっかけになることも分かってきています。

数字で見るED(勃起障害) 




ED(勃起障害) の予防と治療
EDは発症原因に占める加齢の影響が大きな病気ではありますが、加齢以外にもさまざまな原因があります。

よく知られているように、糖尿病がありその治療が良くない状態が続いているとEDになりやすくなります。これは糖尿病のために陰茎の神経や血管の機能が障害されて、勃起に必要な血液を陰茎に溜める仕組みが破綻してしまうからです。糖尿病によるEDの予防と治療には、先ずは糖尿病そのものをしっかり治療することが基本です。

男性ホルモンの分泌低下、男性更年期障害、気分障害(うつ)などが原因のEDも少なくありません。その場合も、原因と考えられる病気を治療することがEDの改善につながります。

このほか、なにかの病気の治療のための薬の副作用でEDになることもありますし、外傷(例えば脊髄の損傷)や手術(とくに下腹部の手術)も原因となります。

EDの治療には勃起機能改善薬(バイアグラ(R) など)が処方され、多くの患者さんはそれで症状が改善します。ただし、背後にEDにつながる病気や、EDを起こすことがある薬を服用していなかのチェックも必要です。もしそういったことが影響しているのなら、できるだけその原因を取り除くようにします。病気であればその治療、薬の副作用であれば薬の変更を考えるということです。

勃起機能改善薬の効果が不十分な場合でも、陰茎を容器に入れて内部を陰圧にして勃起を促す医療用具を用いる方法や、血流を増やす薬を陰茎に注射する方法などが、ED治療に詳しい泌尿器科では行われています。

このように治療法が進歩した現在、多くの患者さんが、性交渉が可能な勃起を得られるようになっています。EDの医療で今一番ネックになっているのは治療法ではなくて、治療のとっかかりの段階にあるとも言えます。つまり、EDなのに受診しない患者さんが少なくないということです。

ED治療に力を入れている医療機関であれば、プライバシーに配慮して、ほかの患者さんの目を気にすることなく診察を受けられるように工夫しています。薬を院外でなく院内で処方してくれる医療機関もあります。そしてそういった情報は、インターネットで簡単に調べられます。ですから、まず、患者さんご本人が行動を起こすこと、それが今、最も大切なことかもしれません。

なお、インターネット上には勃起機能改善薬を販売しているホームページやメールによる勧誘がみられます。しかしこれらでは効果がないばかりか、からだに良くない影響が及ぶ偽薬の可能性もあり危険ですので、不正ルートの利用は決してなさらないように致しましょう。

さらに詳しく知りたい方は
日本性機能学会
EDケアサポート(日本イーライリリー)
EDネットクリニック.com(バイエル薬品)
ED-info.net(ファイザー)
病気別BEST100サイト【ED(勃起障害)】

花粉症

どんな病気?
春の桜前線に夏入り前の梅雨前線、そして秋の紅葉前線など、日本には四季折々の気候と関係した風物詩のような「○○前線」という言葉があります。「明日から気温がぐっと下がり、紅葉前線は東北地方から関東北部の山ぞいへと広がることでしょう」とテレビが言うのを聞くと、「ああもう秋も深まってきたんだな」と感傷的になったりします。

このような美しい風物詩に、最近、とても迷惑な前線が加わり、日本の春に定着してしまいました。いち早く春の到来を告げる「花粉前線」です。天気予報の花粉飛散予測を見て、身構える思いで春を迎える方も少なくないことでしょう。

この時期、スギ花粉の飛散によって花粉症になる方が国民の20パーセント前後にのぼると推測されています。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみ目、涙目などがその症状です。これらは花粉に対するアレルギーによるもので、医学的には「季節性アレルギー性鼻炎・結膜炎」と呼ばれます。

アレルギーとは、本来はからだに害のある細菌やウイルスを排除するための免疫機構が過剰に反応してしまって、かえってからだに悪影響を及ぼす病気のことです。からだにさして害のない花粉に対する見当はずれの免疫反応が、花粉症ということです。

アレルギー反応は、抗原(アレルギー反応を引き起こす原因物質。アレルゲン)がからだに入るとすぐ症状が現れる反応と、やや時間がたってから現れる反応があります。花粉が舞う季節、戸外に出た途端にくしゃみが出るばかりでなく、帰宅してからも症状が出て悩まされるのはそのためです。

国内で花粉に対するアレルギーをもつ人が、なぜこれほど増えたのか、その理由は正確にはわかっていません。戦後各地に植林されたスギが成長し、同時に海外からの安価な木材輸入が増えた結果、それらのスギが手入れされないまま花粉を大量に飛ばしていることが大きな原因と考えられていますが、そのほかにも大気汚染の影響、アスファルト舗装が増えて花粉が地面に溜まりやすくなった影響、感染症が減った分、勢い余った免疫機構がアレルギーを起こしやすくなっている可能性なども言われています。

なお、花粉症というとスギ花粉が有名ですが、ヒノキやカモガヤ、ブタクサなどが原因の患者さんもいます。それぞれの花粉の飛散時期によって症状の現れる時期が異なりますので注意が必要です。

数字で見る花粉症




花粉症の予防と治療
どんな人が花粉症になりやすいのかがまだはっきりわかっていないので、花粉症の予防法もよくわかっていません。ただ、花粉症は花粉をアレルゲンとするアレルギーですから、花粉にさらされなければ発病しません。また、すでに花粉症になっている患者さんでも、花粉がごく少量なら症状は現れないか軽症ですみます。ですから花粉症の予防や治療には、花粉が飛散しないどこか遠い土地で暮らせばよい、ということになります。

しかし、国内にそのような土地はあまり見当たりません。花粉症の予防・治療のために海外に引っ越すというのも現実的ではありません。そこで、日々の生活でなるべく花粉にさらされないような工夫をすることになります。そのためのポイントを挙げましょう。

(1)外出時にはマスクにメガネ(なるべくゴーグルタイプ)、帽子をつけ、花粉が付着しにくい素材の衣服を着用。(2)帰宅時には玄関先で帽子や衣服をはたいてから入室し、早めにうがい、洗眼、洗髪を。(3)家の窓を閉め、洗濯物や布団は室内の窓際で干す。(4)室内は水拭き掃除で花粉を減らす。(5)湿度が高いほうが花粉が飛びにくいので、できれば加湿器を使う。空気清浄器を使う場合は床に置くタイプ(壁掛けタイプでは花粉が宙に舞ってしまう)。(6)花粉飛散情報を毎日チェックし、飛散量が多い日は、これらの対策をよりしっかりと。(7)睡眠を十分にとると症状が軽くなる――。

こうした工夫に加え、市販の目薬や点鼻薬、飲み薬などを薬剤師に相談のうえ使用するのも良い方法です。ただ、市販薬にも副作用はありますから、数週間の長期にわたって使用し続けるのはあまりお勧めできません。一度、耳鼻科や眼科で診察を受けてください。

なお、アレルギーの飲み薬は、服用を開始してから効果が現れるまで2週間ほどかかりますし、一度症状が出てからだと治療効果が十分発揮されないことがあります。花粉のニュースが話題になり始めたら症状が現れ始める前に受診したほうが、そのシーズンを楽に過ごせるのではないかと思います。

薬以外の治療法として、減感作療法と手術治療があります。減感作療法は、アレルゲンを注射などでごく少量ずつ体内に入れ、その量を少しずつ増やしからだをアレルゲンに慣れさせる方法で、7割ぐらいの患者さんに有効です。成功した場合は花粉症に悩まされなくなりますが、治療が終わるまで数年かかり、その間は花粉症シーズン以外でも定期的に通院を続けなければなりません。手術治療は、鼻の中の粘膜が病的に変化してしまっていて、それが薬による治療の効果を妨げている場合に検討されます。減感作療法も手術治療も、アレルギー科や耳鼻科の専門医が行う治療法です。

さらに詳しく知りたい方は
日本アレルギー学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本眼科学会
日本眼科医会
厚生省労働「花粉症特集」のページ
病気別BEST100サイト【花粉症】

加齢黄斑変性

どんな病気?
今あなたはこの文章をパソコンの画面上で読んでいることでしょう。文章を読み進めるに従い、あなたの眼は左から右へと動き、行の右端にきたらまた左端へと視点を動かして次の行を読み始めるはずです。パソコンの画面の一点を見つめたままこの文章を読み続けることはできないでしょう。なぜかというと、網膜の中央に位置する「黄斑(おうはん)」で文字を追い掛ける必要があるからです。加齢黄斑変性を理解するために、まず、黄斑の役割について知る必要があります。

瞳孔から入った光は眼球の奥の網膜に像を結び、それが映像として認識されます。網膜は眼球の奥一面に広がっているので、たとえ一点を見つめていたとしても、上下左右の広い範囲を同時に認識できます(その範囲のことを「視野」といいます)。網膜はその中央部と周辺部で機能に差があり、中央部は細かい物を見分ける機能が優れています。一方、周辺部の網膜は明るさを感知する機能に優れているものの、細かい物を見分ける能力はあまりありません。

「黄斑」は網膜の中央にあって、細かい物を見分ける能力が最も鋭敏な部分です。私たちは「視力」という言葉をよく使いますが、その視力とはこの黄斑の働きによって決まります。そしてその黄斑の機能が加齢に伴い病的な変化をもたらされた結果、視力に低下を来たす病気が「加齢黄斑変性」です。

この病気では、視野全体が障害されることはありません。しかし、一番見たい所が見えないという大変不便な状態になってしまいます。人口の高齢化とともに患者数が増えてきていて、欧米では中途失明(先天的な原因以外の失明)原因のトップとなっていて、日本でも増加しています。

加齢黄斑変性には、新生血管という異常な血管が発生するケースと発生しないケースの2つのタイプがあります。病気の進行が早く視力に影響が及びやすいのは、新生血管が発生するタイプです。新生血管はとても脆い血管なので、血管の壁から血液成分が漏れて網膜に溜まり、網膜に浮腫(むくみ)を起こしたりしてその機能を障害します。

数字で見る加齢黄斑変性


  「視覚障害の原因疾患」

厚生労働省研究班「わが国における視覚障害の現状」


加齢黄斑変性の予防と治療
加齢黄斑変性は網膜の黄斑部における病的な変化が原因で起こってきますが、なぜそのような変化が起きるのかは今のところ充分には解明されていません。ただし疫学的な研究では、喫煙者や前喫煙者(今は吸わなくても以前吸っていた人)に多いことがわかっているので、予防という点では禁煙が重要と言えるでしょう。

治療という点では近年、非常に進歩してきています。ほんの10年ほど前までは有効な治療法がなく、発症してしまったら進行を抑えて視力をなんとか保つのがやっとだったのですが、今ではいろいろな治療によって視力の維持はもとより、視力の改善も期待できるようになりつつあります。その新しい治療法の代表が抗VEGF薬という薬です。

VEGFとは血管の成長を促す生理活性物質です。加齢黄斑変性で問題となる新生血管は、このVEGFが増えることで発生します。ですからVEGFの働きを抑えてあげれば新生血管は伸びず、網膜の浮腫もひいて視力が改善してきます。

抗VEGF薬は眼球内への注射により投与されます。病気の勢いを抑えるために、4週または6週に1度、この注射を続けます。注射は外来で受けられ、入院の必要はありません。国内では使用が始まったばかりの薬ですが、今のところあまり副作用は問題になっていません。ただし、正常な血管の新生も抑制する可能性も考えられるため、脳梗塞や心筋梗塞になったことがある方には慎重に使われます。

このほかにも比較的新しい治療法として、光線力学療法があります。これは、光に反応する薬を静脈に注射し、その薬が眼球に達したときに瞳孔からレーザー光を当てて、その薬に化学反応を起こし、異常な新生血管の細胞にダメージを与える方法です。日本人にはこの治療法が有効なケースが多いとも言われています。ただし、副作用で視力が低下するケースがあるため、病気の早期で視力がまだ良好な段階ではこの治療法は行いません。

なお、これは眼の病気全体について言えることですが、たふだんは左右両方の眼で物を見ているため、片方の眼の見え方がおかしくなってもなかなか気付かないものです。病気の早期発見のためには、片方の眼を手で覆って見え方に異常がないかを確認してみて下さい。

さらに詳しく知りたい方は
目の健康(参天製薬)
病気に関する情報(ノバルティスファーマ)
目の広場(ファイザー)
病気別BEST100サイト【加齢黄斑変性】

帯状疱疹

どんな病気?
疱疹とは、皮膚の小さなできもののことです。その疱疹が帯のように広がって現れる病気が帯状疱疹です。原因はヘルペスウイルス。みずぼうそうの原因と同じウイルスです。

みずぼうそうは多くの人が子どものころにかかる病気です。みずぼうそう自体は10日もすれば治るのですが、ヘルペスウイルスがからだから完全に駆逐されることはありません。神経の奥深くに潜り込み、そこで生き続けます。ただし通常、ウイルスはじっとしているだけなので健康に害を及ぼすことはありません。問題になるのは、そのヘルペスウイルスが再び活性化したときです。

どのようなときにウイルスが活性化するかというと、からだの抵抗力が落ちたときです。その原因として最も多いのは加齢です。ですから帯状疱疹は高齢になるほどかかりやすくなります。若い方でもなにかの病気のために体力が低下しているときや、ストレスが続いているときに発病することがあります。

ウイルスが再活性化し増殖すると、神経の奥から皮膚の表面へと上ってきます。この間、痛みやヒリヒリ感が数日続きますが、外見上はまだ異常はないことが少なくありません。そのためこの段階で診察を受けても、帯状疱疹だとわからないことが多いのです。やがて、ウイルスが皮膚表面までに到達すると疱疹となり現れ、診断が確定します。

疱疹は神経の分布に沿って、あたかも帯のようにつながってできることが多いため、帯状疱疹と呼ばれます。顔や胸、背中によく現れます。また神経はからだの中央から左右に分かれて広がっているため、疱疹もからだの左か右のどちらか一方に広がります。

帯状疱疹は神経そのものの病気なので、強い痛みを伴います。発熱や倦怠感が現れることもあります。ただし2週間ほどで疱疹がかさぶたになり、そのうち消えてなくなります。ところが疱疹が消えた後も痛みがなかなか治まらずに長引くことがあります。帯状疱疹後神経痛と呼ばれるもので、数ヶ月から数年以上にわたって患者さんを悩ますことがあります。

数字で見る帯状疱疹







帯状疱疹の予防と治療
神経の中に潜んでいたヘルペスウイルスが再活性化することが帯状疱疹の原因です。ですから、ふだんから体力低下を防ぎ健康的な生活を心掛けることが予防につながると考えられます。ただし、忙しい生活やストレス、加齢などによって免疫力が低下して、ヘルペスウイルスが勢いづいてしまうのは仕方がない面もあります。

そこで治療の話ですが、帯状疱疹は治療開始が早ければ早いほど良いことが明らかです。病気の早い段階、つまり、ウイルスがまだそれほど増殖していない段階で抗ウイルス薬を用いて治療すれば、症状が軽いうちに治癒させることが可能です。ただし「どんな病気?」の項でも書きましたように、病気の初期に帯状疱疹だと診断するのは必ずしも容易ではありません。

仮に、抗ウイルス薬の使用開始が遅れてもほとんどの場合3週間ぐらいで治癒します。顔面の帯状疱疹が眼球や耳の奥に波及した場合に失明や難聴になることもありますが、その頻度はまれで、基本的には良性の病気と考えてよいでしょう。そして一度、帯状疱疹になれば抗体が強くなるので、めったに再発しません。

問題は、皮膚症状が治まった後も痛みが長引く「帯状疱疹後神経痛」です。ウイルスによる神経細胞へのダメージが強すぎて神経細胞が元どおりに回復しないために起きる後遺症です。高齢者や帯状疱疹の症状が強かった方に現れやすい傾向があります。

帯状疱疹の痛みには、一般的には効き目のよい痛み止め薬(非ステロイド性抗炎症薬)があまり効かず、今のところ決め手となる治療法がない状況です。抗うつ薬やビタミンB製剤、神経に麻酔薬を注射するペインクリニックなど、さまざまな治療法がありますが、どれも人によって効果に差があります。

不快な症状が続いてゆううつになることがあるかもしれません。しかし、痛みは時間がかかっても少しずつよくなっていきます。根気よく治療を続けてください。

さらに詳しく知りたい方は
病気別BEST100サイト【ヘルペス】