メタボ健診:改善求め意見書 日本公衆衛生学会
2010年11月 4日 14:03
 日本公衆衛生学会(実成文彦 理事長)は、特定健診・保健指導の今後の改定に対する意見書を10月28日付で厚生労働大臣に提出した。特定健診とがん検診を一体化し地域で受けやすい制度に改善することや、腹囲基準の取り扱いを再検討することなどを求めている。

 同学会は、医師・歯科医師・保健師・栄養士、市町村保健師、大学医学部・歯学部、看護大学の衛生学公衆衛生学の研究者などを中心に構成される。今回の意見書は、会員に対して実施したアンケート調査をもとに集約したもの。

 アンケートでは、特定健診・特定保健指導でメタボリックシンドロームの予防・改善を取り上げたことを評価する意見が多数を占めたが、問題点も指摘された。

 意見書では「地域に住む被用者保険の被扶養者に対する保健サービスが低下している」と指摘。従来は市町村が実施する基本健康診査とがん検診を同時に実施していたが、特定健診導入後はがん検診は市町村で受診することになった。そのため「その受診形態が不便で煩雑になった」としている。また、医療過疎地帯では、指定医療機関で特定健診を受けることが困難な地域もある。

 そこで解決策として、「市町村が被用者保険者と連携して被用者保険の被扶養者に対して、特定健診とがん検診を一体化したサービスを実施できる体制を整える必要がある」と示している。

 腹囲基準についても「日本人の科学的エビデンスを総括し、現場での実効性も考慮して、定義を再検討する必要がある」と指摘している。アンケート調査では腹囲について「男性の基準は厳しすぎ、女性の基準は甘すぎる」という意見があったという。

 さらに、女性や高齢男性でメタボリックシンドロームに該当する人がそれ程多くなく、腹囲が基準以下でも高血圧、糖尿病、脂質異常などの循環器疾患の危険因子が重複するケースが多数みられることから、「非肥満者でも危険因子を有する人に対する食生活や運動の指導はメタボリックシンドローム該当者と同様に重要」としている。

 特定保健指導のマニュアルについては、「指導を行いやすくなったと評価する意見がある一方で、実現性の観点からみると、保健指導のポイント制など画一化、硬直化しており、地域や職域における保健指導からの脱落者が多い」と述べている。

 保健指導からの脱落を防ぎ、指導の効果を上げるためには、「現場の保健師や管理栄養士がその専門性を生かして柔軟な対応をすることが必要であり、また、保健指導が年度を跨いで継続できる体制を構築することも重要」と指摘している。

特定健診・特定保健指導の今後の改定に対する意見(日本公衆衛生学会)
  1. 被用者保険の被扶養者に対しては、地域で特定健診とがん検診を一体化したサービスが受けられる体制を整える。また、未受診者への受診勧奨を進め、複数年度の累積受診率を把握、評価する体制を整える。
  2. 腹囲のカットオフポイントや腹囲を必須項目とするか否かの判断を、コホート研究を中心とした科学的エビデンスや現場での実効性を考慮して、再検討する。
  3. 腹囲が基準以下であっても、高血圧、糖尿病、脂質異常などの循環器疾患の危険因子が重複する者に対して、「動機付け支援」、あるいは「積極的支援」に相当する保健指導の実施体制を構築する。
  4. 特定保健指導に際しては、その効果を検証しながら、マニュアルに従った一律の指導でなく、保健指導に携わる保健師や管理栄養士などの専門性を生かした柔軟な対応を推奨し、現状の単年度内での指導や評価方法を再検討し、複数年度にわたる指導や評価体制について検討する。
日本公衆衛生学会
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