ビフィズス菌をとると健康寿命が伸長 ヨーグルトの健康効果
2011年8月19日 14:22
 このところ話題が増えている「プロバイオティクス」は、腸内細菌叢を改善し、体に有益な作用をもたらす微生物の総称。代表的なプロバイオティクスであるビフィズス菌を摂取すると、寿命が伸長する効果があることを実験で確かめた研究が発表された。

 ビフィズス菌の含まれるヨーグルトを食べるのは体によいといわれてきたが、そのメカニズムには不明な点も多い。研究では、ビフィズス菌に寿命を伸ばす効果や、老化抑制や抗炎症効果があるだけでなく、腸内環境改善によるアンチエイジング効果も期待できることを、マウスを用いた試験で確認した。
腸管内ポリアミンと大腸の老化抑制と寿命の関連を証明
 研究は、京都大学、理化学研究所、協同乳業らの研究グループによるもの。農業・食品産業技術総合研究機構・生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出基礎的研究推進事業」の支援を受け行われた。研究成果は米科学誌「PLoS ONE」オンライン版に発表された。

 研究者らは、DNAや蛋白質の合成や安定化、細胞増殖などに関わる生理活性物質「ポリアミン」に着目。ポリアミンはすべての生物の細胞にあり、抗炎症作用や抗変異原作用、オートファジーの誘導、腸管バリア機能の維持・促進など、健康増進に有用な効果が報告されている。

ビフィズス菌の一種である「LKM512」を与えたマウス群は、寿命が対照群と比較して有意に伸びた。生理活性物質「ポリアミン」を直接与えるよりも、ビフィズス菌を与え腸内細菌叢を産生させた方が効果があった。
 研究者は「ポリアミンを増やすと、慢性炎症が抑えられ老年病を予防・改善できる」との仮説にもとづき、ビフィズス菌「LKM512」をマウスに投与し、腸内細菌にポリアミンが生成されることを確かめた。

 ヒトに換算すると30〜35歳に当たる10ヵ月齢のマウスのメスを3グループ(19〜20匹)に分け、それぞれに対してLKM512、スペルミン(ポリアミンの一種で、もっとも活性が強い)、生理食塩水(対照群)の3パターンに分け、週に3回経口投与を行って比較した。

 その結果、LKM512が大腸内のポリアミン濃度を上昇させることで、大腸のバリア機能が維持され、抗炎症効果が促され、寿命が伸長することがあきらかになった。一方、ポリアミンの経口投与でも一定の寿命伸長効果はあったが、LKM512と比べると弱いものだった。

 研究者らは今回の研究成果について「カロリー制限以外の方法で、マウスの寿命伸長効果が得られることを証明した数少ない成果だ」と述べている。

 今回の研究はマウスを使った動物実験であり、気になるのはヒトへの応用。これまでの研究で、高齢入院患者、健常成人、アトピー性皮膚炎患者などでLKM512を含むヨーグルトを摂取することで、腸内ポリアミン濃度が上昇することを確かめている。

 研究者らは「重要なのは単なる長寿ではなく、健康寿命を伸ばすこと」として、今後はヒトでの健康寿命の伸長に関心の高い研究者らとの共同研究も視野に入れ、「より多くの個体での確実性を高めるため、ポリアミン濃度制御物質を用いた技術の確立を目指す」としている。

ビフィズス菌「LKM512」摂取による寿命伸長効果を発見(京都大学 2011年8月17日)

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