人間ドック:昨年の受診者で「異常なし」は過去最低の8.4%
2011年9月 5日 12:17
 人間ドックを受診した人のうち、「異常なし」と判定された人の割合は2010年は過去最低の8.4%にとどまったことが、日本人間ドック学会と日本病院会の調査であきらかになった。

 調査の対象となった人間ドック受診者数は、前年より7万人多い308万人。調査を開始した1984年の41万人から7倍以上に増加した。

 生活習慣病に関連する検査のうち、「異常なし」と判定された人の割合は、全平均で前年より1.1%低い8.4%で、過去最低となった。同学会らが全国集計を始めた1984年の「異常なし」は29.8%だった。25年間で健常者の割合は3分の1未満に減少した。

年齢が上がるにつれ「検査値:異常なし」は減少
 「異常なし」と判定された人の割合は年齢が高くなるにつれ減少し、39歳以下が17.7%、40歳代が9.9%、50歳代が5.6%、60歳以上が3.7%だった。

 低い年齢層では、生活習慣の改善を求められる程度の軽い異常値の人が比較的多かったが、高齢者になるほど治療が必要な人の割合は増える傾向がみられる。男女別では、男性7.3%、女性10.2%だった。

 生活習慣病と関連の深い検査6項目で比較すると、異常があった検査項目は多い順に、肥満(27.7%)、高コレステロール(27.3%)、肝機能異常(27%)、耐糖能異常(20.3%)、高血圧(18.8%)。

 生活スタイルと関連の深いこれらの検査項目で、前年より減少したのは高中性脂訪のみで、5項目ではすべてが増加した。

 性別にみると、男性では肥満が32.9%ともっとも多く、以下は肝機能異常、高コレステロール、耐糖能異常、高血圧と続く。

 女性では高コレステロールがもっとも多く26.7%を占め、肥満、肝機能異常、耐糖能異常、高血圧と続く。女性では高コレステロールの異常の割合が、50歳代以後に急上昇して男性と逆転した。

 男性では年齢層別にみると、耐糖能異常と高血圧は加齢とともに上昇傾向を示し、肝機能異常、肥満、高コレステロール、高中性脂訪は50歳代をピークとして、60歳以上は下降傾向を示している。

 地域別では、健常者の割合が最低の地域は九州・沖縄地方の5.7%、最高は中国・四国地方の13.3%だった。その他は北海道が7.6%、東北が9%、関東・甲信越が8.1%、東海・北陸が8.3%、近畿が7.8%となっている。

 地域差を年別に比べると、東海・北陸、近畿、九州・沖縄地方は前年よりやや増加し、その他の地域は前年より低下。特に関東・甲信越と北海道地方の低下は顕著だった。

がん:人間ドックは「総合型検診」、軽症のうちに発見・治療
 発見がん症例数も前年より増加した、人間ドックで発見されるがんのトップは胃がん(28.2%)であり、次いで大腸がん(16.5%)。両方を合せると25年前は全発見がんの約70%を占めていたが、今回の調査では約45%と年々減少傾向を示している。

 その理由は、その他のがんが年々増加し、特に男性では前立腺がん、女性では乳がんが著しく増えたため。女性に限ると乳がんは41.7%でトップ。

 同学会では「日本人の2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡しているのが現状」として、がんを発見した症例数の増加について「人間ドック健診施設の質的向上がうかがわれる」と指摘している。

 住民を対象としたがん検診は、特定臓器に限定しているに対し、人間ドックは「個別型がん検診」で、オプション検査を含めて全臓器を対象とした「総合型検診」と説明している。

 人間ドックで最も発見頻度の高い胃と大腸がんについては、早期がんの占める割合が72〜77%前後。胃は94%、大腸がんの97%が手術を実施しており、特に大腸がん手術例中内視鏡的切除が年々増加して7割を占め、「二次予防の有用性を実証することができた」と述べている。

 死因のトップを占めているがん死亡率を今後10年以内に20%減少を日標に、国は2007年4月よりがん対策基本法を施行している。その柱のひとつに「がん検診の強化」を掲げている。

 同学会では対策として「50歳以上の男性に対するPSA検査」、「40歳以上の女性に対する乳房エコー検査やマンモグラフイー」などを基本検査項目に導入する必要があると強調している。

 検査で異常を指摘される人が増加した背景として、同学会では、メタボリックシンドロームに着目した特定健診が2008年に開始され、腹囲測定が導入されるなど、「健康への関心が高まり、人間ドック受診者数が増加した」と説明。

 「食習慣の欧米化と運動不足」、「景気低迷などにともなう社会や職場環境の悪化、ストレスの増加」などが生活習慣に悪影響をもたらしていると指摘している。

日本人間ドック学会
  人間ドックの現況
日本病院会

© 2014 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護 2018.10.03
サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動 2018.10.02
加齢や健康について周囲に話せるシニアは「幸せ度」が高い 意識調査 2018.10.02
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大 2018.10.02
【9/10〜9/16は自殺予防週間】SNS(LINE・チャット)相談できます! 2018.09.13
「ミドリムシ」の成分が血糖値の上昇を抑制 期待できる健康効果 2018.09.13
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動 2018.09.06
「コーヒーは健康に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか? 2018.08.30
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催 2018.08.30
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作 2018.08.30
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要 2018.08.24
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に 2018.08.07
「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く 2018.08.07
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半 2018.07.20
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省) 2018.07.20
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護 2018.07.20
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール 2018.07.17
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に 2018.07.17
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を 2018.07.17
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響 2018.06.28
作りおきに「食中毒」リスク 冷蔵庫保管でも「においで判断」はNG 2018.06.28
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる 2018.06.06
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進 2018.06.06
乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化 2018.05.02
糖尿病の発症前に「慢性腎臓病」(CKD)は悪化 検査で早期発見を 2018.05.02
【連載紹介】何をどう食べるか―体験から得た震災時の食の"知恵袋" 2018.05.02
「プロポリス」が認知機能の低下を抑制 7年間の国際研究で判明 2018.04.27
【健やか21】平成30年度「児童虐待防止推進月間」の標語を募集します! 2018.04.27
夏の夜は「心筋梗塞」の増加に注意 季節の日照時間によって発症に差 2018.04.26
糖尿病リスクは「雨」? 久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」 2018.04.19
Copyright ©1998-2013 Soshinsha.
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
日本臨床内科医会プロジェクト
大人の健康生活ガイド facebook
更新情報配信中!
あなたの年代の“平均余命”
知っていますか??
お住まいの地域の「健康リスク」
“死因別死亡率”
病気別ガイド - 原因・症状・対策 -
あなたの脳は大丈夫?

第11回 読み書き「難読漢字・花偏」

難読漢字の読みに挑戦する問題です。何故そのような漢字になったのか調べてみるのも脳の活性化につながります。(2013/2/20)

 続きはこちら