サプリメントとがん・循環器疾患リスク サプリは「本当に効く?」
2011年9月 7日 15:17
 ビタミンのサプリメントが、がんや循環器疾患の予防につながると期待をしている人は多いが、実際にはサプリメントの利用を続けている女性では、脳梗塞などのリスクは低下する一方で、全体的にがんになるリスクは高くなる傾向あるとの調査結果が発表された。

 この研究は、生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患などの関連を調査する多目的コホート研究「JPHC研究」の一環として行われた。研究班は1990年と1993〜94年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄に在住していた、研究開始から5年後に、がんなどを罹患しなかった40〜69歳の男女約6万人を対象に、2006年まで追跡して調査した。
サプリでがんリスクが上昇 5年で24%
女性では循環器疾患リスクは40%減少
 これまでサプリメントとがんや循環器疾患との関連について調べた研究では、「予防効果がある」、「関連がない」と結論づけた研究が両方あり、一貫した結果を得られていない。長期間の調査ではサプリメントを摂取する人の習慣が大きく変わりやすいことが背景にある。そこで今回の研究では、研究開始時と研究開始から5年後に行った2回のアンケートの回答をもとに、ビタミンサプリメント摂取の変化を調べた。

 5年間のビタミンサプリメント摂取の変化と、すべての種類のがんや循環器疾患の発生率との関連を調べた。ベースライン調査では、ビタミンサプリメント摂取の頻度と種類を聞き、週1日以上とっている人を「摂取者」とし、また5年後調査では、ビタミンサプリメント摂取の頻度、期間、種類、商品名を聞き、商品名を元にビタミンサプリメントを再分類して、週1日以上1年以上とっている人を「摂取者」とした。もっとも多く摂取されていたのは、男女ともビタミンB群のサプリメントだった。

 2回のアンケートに回答した6万2629人のうち、期間中に4501人が何らかのがんと診断され、また1858人に循環器疾患の発症が確認された。女性では、過去にサプリを摂取していたが5年後調査では摂取していなかった群で17%、5年後調査で摂取を開始した群で24%、それぞれがんのリスクが上昇していた。

 また、女性では循環器疾患については、ベースラインから5年後調査まで継続して摂取していた群でリスクが40%減少していた。病型別にみると脳梗塞に対して有意なリスクの減少がみられた。男性では、ビタミンサプリメント摂取は、全がんリスクにも循環器疾患リスクにも関連していなかった。

サプリメントを利用する人の生活習慣は共通している?
 研究者らは「初期に発生したがんは、サプリメントの影響で引き起こされたものではなく、調査の開始時に発見されていない早期がんや、がんを起こしやすい病態により引き起こされた可能性がある」と述べている。初期5年間に発生したがんを除外して詳しく解析すると、リスク上昇は統計学的に有意でなくなった。

 また、「摂取開始者は潜在的に疾患があり、それがきっかけでビタミンサプリメントを飲み始めた可能性がある」としている。女性では、ビタミンサプリメント過去に摂取していた群は、他の群に比べ、肥満者や喫煙者、高血圧や糖尿病治療の割合が高く、身体活動量が低いなどの特徴が共通していた。

 女性でサプリメント継続して利用している人は、他の群に比べ、「肥満者の割合が少ない」、「検診受診率が高い」、「果物や食事からの葉酸・ビタミンCの摂取が多い」などの特徴があり、こうした健康的な生活習慣や健康意識の高さが影響して、循環器疾患のリスクを下げた可能性もある。

 もっとも多く摂取されていたビタミンB群サプリメントは、ホモシステイン代謝に関連していることが知られており、脳卒中のリスクを下げる可能性があると報告している海外の研究もある。「ビタミンB群サプリメントが女性の循環器疾患リスクを低くすることに影響したかもしれない」と指摘している。

 研究者らは「ビタミンサプリメントに頼らず、科学的根拠にもとづいて、食事や生活習慣の改善を目指すほうが大切」と強調している。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部

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