世界初の「肥満税」 飽和脂肪酸の多い食品に課税 デンマーク
2011年10月12日 14:01
 デンマーク政府が10月1日から導入した「肥満税(fat tax)」が世界中で波紋を広げている。飽和脂肪酸の多い食品に課税したのは世界ではじめてのことで、肥満増加に悩む多くの国の保健関係者が、肥満防止効果に注目している。

 デンマークは10月1日から「肥満税(fat tax)」を導入し、バター、クリーム、チーズなどの動物性脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」を一定以上含む食品に対する課税を開始した。

 肥満税は、生活習慣病の増加に対策し、国民の健康寿命を延ばすための施策。デンマークの保健専門家は、デンマーク人の10%が過体重か肥満だと指摘する。デンマークの平均寿命は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均寿命78歳を下回っており、次の10年で寿命を3歳延ばすことを目標としている。

バターは14%、マーガリンは21%の値上げ
 一般的に、動脈硬化などを引き起こす悪玉(LDL)コレステロール濃度が上昇し、心疾患などのリスクが高くなる。がんの原因にもなるともいわれる。課税によってそうした食品の消費を減らすことで国民の健康を守る狙いがある。

 飽和脂肪酸の多い食品に課税したのは世界ではじめてのことだ。肥満は全世界的な課題となっている。デンマークの「肥満税」の導入に効果があるのか、世界の多くの国の医療関係者が関心をもっている。

 オックスフォード大学の健康政策研究グループのMike Rayner氏は「肥満税は初めての試みだ。どのような結果が出るか、大変に興味深い」と言う。英国の子供の3分の1と大人の3分の2は過体重か肥満だという。Rayner氏は「不健康な食事に対し課税を施し、肥満を抑制すべきだと提案したことがある」としている。

 雑誌のタイム誌によると、とりわけ米国でデンマークの肥満税については反響は大きかった。米国疾病管理センター(CDC)の調査によると、米国人の3分の2以上が過体重で、34%が肥満だという。

 「米政府は学校給食を健康的なメニューに変え、子供の健康的な食生活やスポーツや運動を推奨するなどして、肥満に対策している。肥満税の導入はこうした施策よりも、肥満防止の点で効果があるかもしれない。国家が直接に干渉する税制がどのような成果を上げるか、世界中がデンマークに注目している」とタイム誌は報道した。

 対象となるのは、2.3%以上の飽和脂肪を含むバター、チーズなどの乳製品、牛乳、肉類、加工食品など。飽和脂肪1キロあたり16クローネ(約220円)の税金がかかる。バターは14%、マーガリンは21%、ホイップクリームは12%、それぞれ価格が上昇した。デンマーク農業・食品会議は、大人2人と子供2人の平均的な家庭で、課税前と同じ食事を続けた場合、1年当たり1000クローネ(1万3600円)を余計に払う計算になると試算している。

 この施策には、否定的な声も上がっている。デンマーク農業・食品会議のディレクターのLone Saaby氏は「肥満防止のため、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が高い食品に対する課税策を導入したり、健康的な食品にマークを付け消費を促す方法がある」と述べている。

Fat tax draws foreign attention(デンマーク政府サイト 2011年10月4日)

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