ファストフード店のカロリー表示は「効果あり」 ニューヨーク市で調査
2011年10月20日 19:52
 米ニューヨーク市は2008年に、ファストフードのチェーンを展開しているレストランに対して、メニューの栄養表示やカロリー表示を義務付けた。この政策施行の前後でニューヨーク市民の消費行動を比較した研究が発表された。ファストフード店でのカロリー表示の導入以降、利用客のおよそ6人に1人がカロリー表示を参考にし、多くはカロリーの低い商品を選んでいることが分かった。
市民の10人に6人は肥満や過体重
 ニューヨーク市は市民の食生活の改善に取り組み、肥満や過体重の人の割合を減らそうとしている。米国では成人と子供の両方で肥満が急速に増えており、市内の成人のほぼ10人に6人は肥満や過体重だという。

 肥満は心疾患や2型糖尿病、がんの増加の原因となる。予防するために、適正なカロリーをとり食べすぎを防止し、野菜を十分にとり、動物性脂肪のとりすぎを防ぐことなどが必要となる。

 そこで市の保健部は2008年に、市民の健康増進と肥満対策を目的に、全米で15店以上チェーン展開しているレストランに対して、メニューの栄養表示やカロリー表示を義務付けた。

 メニュー表示の義務化が施行されたことで、昼食時の市民の食生活にどのような変化があらわれたかを調べるために、研究者らは1万5000人以上を対象に、制度化の前の2007年と後の2009年に調査を行った。市内の主な11のファストフード・チェーンの168ヵ所の店舗で、どのようなメニューが購入されているかを調べた。この研究は医学誌「British Medical Journal」に発表された。

 その結果、昼食にファストフード・チェーン店を利用している多くのニューヨーク市民は、メニューに表記された栄養表示を利用し、より低いカロリー選択を行なうようになったことが分かった。

 調査対象となった消費者の42%は大手ファストフードチェーン3社に集中していた。このうち摂取カロリーは、マクドナルドでは平均44.0kcal、KFCでは同58.9kcal、Au Bon Painでは同80.0kcal、それぞれ低下していた。

ファストフードのカロリー表示をよく見る人ではカロリー摂取が減少
 2008年より前は、ファストフードの栄養表示を購買時に利用できることは少なかった。そのため、消費者が何を買うかを決めるときの判断材料が不足していた。

 「メニューのカロリー表示をファストフード・チェーンに求めたことで、消費者の食品に関するインフォームドチョイスが容易になった。カロリー制限を気にする市民は、カロリー表示をよく利用している」とニューヨーク市保健委員会のThomas Farley氏は話す。

 カロリー表示を見てファストフードを購入している人は6人に1人に上った。アンケート調査では、カロリー表示を見ている人は注文の際に、カロリーのより少ないメニューを選んでいることが分かった。カロリー表示は、消費者の健康的な選択を促しており、食品のカロリーは平均106kcal減少していることがあきらかになった。

 「メニューのカロリー表示が全米に広がれば、より多くの消費者がカロリー情報を容易に知ることができるようになる。レストランチェーンの側でもメニューを見直し、より健康的なメニューを増やすようになるだろう」と米保健省の健康増進・疾患予防部局のLynn Silver氏は話す。

 「調査期間がもっと長期的に及べば、保健政策の影響があきらかになる。カロリー表示を最初に行ったニューヨーク市は良い前例となった。栄養表示を見ない人に対し、カロリーをコントロールした食事を促すことも重要だ。カロリー表示だけが肥満対策の方法ではないが、適正な情報の提供と外食産業の改善を促す政策は効果的な方策となる」。

 米国では食事に関連する出費のほぼ50%は家庭外で消費されている。ファストフードの消費と過度のカロリー摂取が関連していることを示した研究は少なくない。それによると、ファストフードの利用者は食事のカロリー計算を少なめに見積もる傾向がある。

 ニューヨーク市が先行したカロリー表示の義務化は、米国の医療保険制度改革法案にそって全国的に採用され、2010年から翌年内に全国的に施行される予定だという。

Fast Food Consumers Use Calorie Labeling on Menu Boards to Make Lower Calorie Food Choices(ニューヨーク市 2011年7月26日)
Changes in energy content of lunchtime purchases from fast food restaurants after introduction of calorie labelling: cross sectional customer surveys
BMJ 2011; 343:d4464 doi: 10.1136/bmj.d4464

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