野菜が男性の下部胃がんのリスクを低下 日本人19万人を調査
2015年2月12日 11:30
 男性で、野菜の摂取量が多いほど、下部胃がん(異の下部2/3に発生する胃がん)の発症リスクが低下することが明らかになった。国立がん研究センターが、19万1,232人の日本人のデータを用いた研究で判明した。
野菜を食べると下部胃がんの発症リスクが低下
 日本では胃がんの発生頻度が高く、死亡数でも第2位を占めている。海外では野菜・果物を摂取すると胃がんの予防に効果的であるという研究が数多くあり、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)のプログラムでも、野菜と果物が胃がんを予防するのはほぼ確実とされている。

 しかし、日本人を対象とした大規模な研究はこれまで少なかった。そこで国立がん研究センターの研究チームは国内で行われているコホート研究をとりまとめて解析を行い、日本人の生活習慣とがんのリスクの関連を解明する研究を行っている。

 今回の調査の対象となったのは、多目的コホート研究である「宮城県コホート研究」と「JACC研究」に参加している19万1,232人。調査開始時の食事に関するアンケート調査から、野菜・果物の摂取量を、1日にとる野菜、緑黄色野菜、果物、野菜と果物で推定し、摂取量の低い順にQ1からQ5まで5つのカテゴリーに区切った。

 平均で約11年の追跡期間中に胃がんになった2,995人について、摂取量カテゴリーごとの胃がんリスクを比較した。その結果、野菜・果物の摂取によって胃がん全体のリスクが低下する傾向がみられものの、有意性は認められなかった。

 次に研究チームは、胃がんの部位別(胃の上部1/3に発生する胃がんと、下部2/3に発生する胃がん)で解析した。胃がんになった人のうち、胃の上部1/3に発生したのは258人、下部2/3に発生したのは1,412人で、摂取量のもっとも低い群を基準としてリスクを分析した。

 その結果、男性の下部胃がんについては、野菜全体の摂取量がもっとも多い群では、もっとも少ない群に比べ発症リスクは0.78倍と有意に低く、摂取量が多いほどリスクが低下する傾向がみられた。緑黄色野菜の摂取量についても、同様に有意なリスク低下がみられた。

野菜の抗酸化作用ががんの発症を抑える
 研究チームは、野菜ががんの発症リスクを下げる理由として、抗酸化作用のある成分が豊富に含まれていることを挙げている。この抗酸化作用によって、胃がんの原因であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)などによる細胞のDNAへのダメージが抑えられる。

 下部胃がんの発症リスクを引き上げるのはピロリ菌の感染であり、野菜・果物の摂取することがピロリ菌による発がんに予防的に働いている可能性があるという。

 一方、女性では野菜摂取と下部胃がんとの関連性はみられなかった。女性では野菜摂取量が男性に比べて多く、リスクになるほど不足している人が少なかったために、はっきりした関連がみられなかったと推察している。

 研究成果は国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長 笹月静氏らによるもので、欧州のがん専門誌「Annals of Oncology」に発表された。

国立がん研究センター

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