中学生に脳卒中をマンガで啓発 保護者でも脳卒中の知識が向上
2015年2月23日 17:00
 中学生を対象に脳卒中の啓発活動を行うと、脳卒中や発症時の適切な対応についての知識の向上をはかれ、この効果は生徒に加えてその保護者に及ぶことが、国立循環器病研究センターの研究で明らかになった。
脳卒中の「FAST」を小中学生に啓発
 脳卒中の発症を予防し後遺症を軽減するためには、生活習慣の改善、脳卒中の知識の習得、脳卒中発症時の適切な対処法の普及が重要となる。

 特に、脳卒中発症後の治療開始時間を短縮化するために、脳卒中発症後の病院受診までの時間を最小限にしなければならず、そのためには「脳卒中発症に気付くこと」と「脳卒中発症時の適切な対処法」が周知されていることが重要となる。

 従来、こうした啓発は成人に対して行われてきており、若年層をターゲットとした啓発手法は確立されていなかった。

 そこで研究チームは、2010年度から京都精華大学マンガ学部と「FAST」を用いたポスター、マンガ冊子、アニメの教材を共同開発し、小中学生を対象とした脳卒中啓発活動を開始してきた。

 「FAST」とは、「顔面麻痺(FACE)」「片腕の麻痺(ARM)」「ことばの障害(SPEECH)」の3つの徴候のうち1つでもあれば、「発症時刻(TIME)」を確認して、すぐ救急車を要請するというメッセージで、海外で脳卒中啓発活動で用いられている。

脳卒中に関する理解度が向上 正解率は90%に上昇
 研究は、脳卒中死亡率が高い栃木県で行われた。9つの公立中学生(13〜15歳)1,127人を対象に脳卒中授業を実施した。

 授業の1週間前から脳卒中啓発ポスターを教室に貼り、授業では研究スタッフ医師による講習を受講した脳卒中を専門としない医療関係者(公衆衛生医師、看護師など)による20分間の脳卒中知識の解説、10分間の脳卒中アニメ視聴、10分間の脳卒中マンガ冊子の供覧を行った。また、生徒には、マンガ冊子を自宅に持ち帰り、その内容を保護者に伝えるよう指示をした。

 研究チームは、啓発介入前後に生徒と保護者へ、脳卒中に関する理解度のアンケート調査を行った。結果、生徒のみならず保護者でも、脳卒中危険因子、脳卒中症状、脳卒中発症時の適切な対応に関する知識が向上していることを確認。

 特にFASTにあてはまる項目については、生徒で90%前後、保護者で80%以上が正答し、その理解が確認されたという。

 さらに、適切な啓発教材を用いれば、脳卒中専門の医療従事者に限らず一般の学校教師や救急隊員によるさらなる脳卒中啓発を普及できる可能性が示された。

 研究チームは今後、脳卒中啓発教材の翻訳を進め、海外への脳卒中啓発手法の発信と、その効果の検証も計画しているという。

 研究は国立循環器病研究センター脳血管内科の横田千晶医長ら研究チームによるもので、医学誌「Stroke」オンライン版に発表された。

国立循環器病研究センター

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